Chapter 1 「潰瘍性大腸炎」ってどんな病気?
繰り返す下痢も、血便も、
腸に起きている「炎症」が原因かもしれません。
潰瘍性大腸炎のこと
腸に炎症が起きる病気を、「炎症性腸疾患」といいます。
炎症性腸疾患には、大腸に炎症が起きる「潰瘍性大腸炎」と、小腸や大腸などあらゆる消化管に炎症が起きる「クローン病」があります。
潰瘍性大腸炎は、厚生労働省が定めた「指定難病」の1つです。感染症ではありませんが、発症原因はまだはっきりとはわかっていません。
病気にかかりやすい体質があるところに、腸に入ってくる食べ物やバイ菌、化学物質などが腸の状態を変えてしまうことをきっかけに、本来ならば体を守ってくれるはずの「免疫」の働きが腸を攻撃して炎症を起こし、大腸の表面がただれ、潰瘍ができてしまうと考えられています。
ひとくちメモ
小児でみられる潰瘍性大腸炎の報告
18歳未満の日本の潰瘍性大腸炎患者さんの有病率は、人口10万人あたり、2010年は約13人であったのに対し、2022年には約51人と、増加していたことが報告されています※1。
なお、小児では成人と比べて、診断時より潰瘍性大腸炎の炎症が大腸全体に広がっていることが多く、重症化しやすいといわれています※2。
- ※1:
- Zhang, Y. et al.:World. J. Gastroenterol. 2025;31(18):105472
- ※2:
- Arai, K. et al.:Intest. Res. 2020;18(4):412-420
- ※:
- 難病情報センター 「潰瘍性大腸炎(指定難病97)」 (https://www.nanbyou.or.jp/entry/62) [アクセス日:2025年5月]
こんな症状がみられます
大腸の粘膜(最も内側の層のこと)に炎症が起き、粘膜がただれると、下痢や血便などが現れます。
強い腹痛や発熱がみられることもあります。
症状の現れ方と時期
潰瘍性大腸炎には、炎症が起きて症状が強く現れている悪い時期の「活動期」と、症状が落ち着いている良い時期の「寛解期」があります。
治療をきちんと続ければ、多くの人は寛解を維持し、通常通りの生活を送ることが期待できますが、人によっては、再び大腸に炎症が起きて(再燃)、活動期と寛解期を繰り返してしまうこともあります。
炎症の広がり方によって、大きく3つのタイプに分かれます
大腸の粘膜の炎症は、肛門に近い直腸から、奥のほうに広がっていきます。炎症の広がり方によって、主に「直腸炎型」、「左側大腸炎型」、「全大腸炎型」の3つのタイプがあります。
小児では成人と比べて、診断時より「全大腸炎型」が多く、重症化しやすいといわれています。
【監修】
国立成育医療研究センター 消化器科 診療部長/小児炎症性腸疾患センター センター長 新井 勝大 先生





