Chapter 3 治療のこと

原則的には、炎症を抑える「薬物療法」が中心。多くの場合は、お薬で寛解期に至ることができます。 原則的には、炎症を抑える「薬物療法」が中心。多くの場合は、お薬で寛解期に至ることができます。

薬物療法

潰瘍性大腸炎を完治できるお薬はありませんが、大腸粘膜の炎症は抑えることができます。
潰瘍性大腸炎の薬物療法は、「活動期」と「寛解期」に合わせて 2つに分けられます。

※再燃:寛解期から再び活動期になってしまうこと。

〈アミノサリチル酸製剤〉

アミノサリチル酸製剤は、軽症~中等症の潰瘍性大腸炎治療の中心となる基本的治療薬であり、「寛解導入療法」にも「寛解維持療法」にも用いられます。
アミノサリチル酸製剤には、「飲み薬」や「坐薬」など使い方が様々あるため、 患者さんの症状や希望に合わせて、医師と相談して選ばれます

〈ステロイド〉

炎症を強力に抑えますが、長期間使用すると副作用が現れやすくなるため、必要な期間に必要な量だけ使用します。寛解を維持する効果はなく、活動期に使用します。

〈α4インテグリン阻害剤〉

アミノサリチル酸製剤の効果が不十分であったり、アミノサリチル酸製剤の副作用で治療が続けられなくなったりした場合に、寛解導入療法として使用されることがあります。

〈免疫調節薬、抗体製剤、JAK阻害薬〉

ステロイドを投与しても効果が低い場合や、再燃を繰り返してしまう場合に使用されることがあります。
いずれも、過剰になっている免疫反応を抑えるお薬です。

薬物療法以外では、「血球成分除去療法」や、
大腸をすべて摘出する「手術療法」があります。 薬物療法以外では、「血球成分除去療法」や、
大腸をすべて摘出する「手術療法」があります。

血球成分除去療法

主に、薬物療法で効果不十分な場合に検討されます。
血液をいったん体内から取り出して、炎症を起こしている「異常に活性化した白血球」を外部装置で取り除き、再び体内に戻す治療法です。

手術療法

下記のいずれかに該当する場合に、大腸をすべて摘出する手術を検討することがあります。

●手術療法の主な適応例

①内科治療が無効(特に重症例)

②副作用などで内科治療が行えない

③大量の出血

④穿孔(大腸に穴があく)

⑤大腸がんまたはその疑い

自覚症状と大腸粘膜の炎症レベルの変化 —粘膜治癒に至るまで—

鈴木 康夫.:IBD. Res. 2014;8(3):207-210より作成



潰瘍性大腸炎患者さんが2年間で「寛解を維持した割合」海外データ

Kane, S. et al.:Am. J. Med. 2003;114(1):39-43より作図



【監修】
銀座セントラルクリニック 院長
鈴木 康夫 先生

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