Chapter 1 潰瘍性大腸炎のこと

繰り返す下痢も、血便も、腸に起きている「炎症」が原因かもしれません。 繰り返す下痢も、血便も、腸に起きている「炎症」が原因かもしれません。

潰瘍性大腸炎のこと

腸に炎症が起きる病気を、「炎症性腸疾患」と言います。

炎症性腸疾患には、大腸に炎症が起きる 「潰瘍性大腸炎」と、小腸や大腸などあらゆる消化管に炎症が起きる「クローン病」があります。

潰瘍性大腸炎は、国が定めた「指定難病」の1つです。発症原因は未だわかっていませんが、「免疫異常」が関係していると考えられています。

現在、日本には、約22万人の潰瘍性大腸炎の患者さんがおり、その数は年々増加しています。

潰瘍性大腸炎は、若年者から高齢者まで発症しますが、発症年齢の主なピークは、男性では20~24歳、女性では25~29歳です。しかし最近では、40代以降でも、多くの人が発症すると言われています。

重症の患者さんは少なく、全体の9割が「軽症~中等症」の患者さんで占められています。

潰瘍性大腸炎はこんな病気です!

※1:難治性疾患の継続的な疫学データの収集・解析に関する研究(2016年度)「潰瘍性大腸炎およびクローン病の有病者数推計に関する全国疫学調査」 西脇祐司 他

※2:『病気がみえる vol.1 消化器』 メディックメディア 2015年 p109

※3:難病情報センターwebサイト(https://www.nanbyou.or.jp/entry/62)

※4:加藤 真吾. 他. :IBD. Res. 2013;7(1):84-89

潰瘍性大腸炎の症状

大腸の粘膜に炎症が起き、粘膜がただれると、激しい下痢血便などが現れます。強い腹痛や発熱などを伴う場合もあります。

潰瘍性大腸炎の症状 潰瘍性大腸炎の症状

潰瘍性大腸炎の経過

潰瘍性大腸炎には、炎症が起きて症状が強く現れる「活動期」と、症状が治まっている「寛解期」があります。

治療をきちんと続ければ、多くの人は寛解を維持することができますが、人によっては再燃 して、活動期と寛解期を繰り返してしまうこともあります。

※再燃:寛解期から再び活動期になってしまうこと。

潰瘍性大腸炎の経過

炎症の広がり

炎症の広がる範囲によって、大きく3つのタイプに分かれます。

大腸の粘膜の炎症は直腸から始まり、上方向に向かって広がります。
その広がりにより、主に「直腸炎型」、「左側大腸炎型」、「全大腸炎型」の3つのタイプに大別されます。

炎症の広がり

他にも、右側あるいは区域性大腸炎などの分類もあります。

加藤 真吾. 他. :IBD. Res. 2013;7(1):84-89より作成

【監修】
銀座セントラルクリニック 院長
鈴木 康夫 先生

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