Chapter 3 どんな治療をするの?

Dr

潰瘍性大腸炎の治療は、重症度や炎症の範囲、
QOL(生活の質)の状態などを考慮して行います。
食事やお薬、規則正しい日常生活などが、
治療の基本となります。

治療で目指すのは、QOLキューオーエル(生活の質)を上げること

現時点ではまだ、潰瘍性大腸炎を完全に治すための治療法はありません。そのため、日々のお薬の服用や生活の制限がつらかったり、病気や治療に対する心配や将来的な不安などをかかえているかもしれません。一方で、病気とうまく付き合いながら、元気に過ごしている患者さんも多くいらっしゃいます。

治療をきちんと続けて、病気をコントロールしながら、QOL(Quality of life:生活の質)を改善し、その状態を保つことを目指しましょう。

QOLを上げること

保護者の方へ

保護者からの情報を、今後の治療の参考に

お子さんがお腹を痛そうにしている様子が増えたり、トイレに行く回数が増えたりなどしている場合は、再燃(再び大腸に炎症が起きている状態)の可能性もありますので、お子さんが自分から話せていない時には、保護者の方から、お子さんの状況を詳しく主治医にお伝えください。

お子さんの協力が得られれば、便の状態(下痢、血便など)の画像やお写真を持参いただくことも有用です。

主治医が今の治療の効果を判断したり、新しい治療を検討する際に、そういった情報が非常に参考になります。

保護者からの情報を、今後の治療の参考に

潰瘍性大腸炎のお薬を用いた治療(薬物療法)

現時点ではまだ、潰瘍性大腸炎を完全に治すための治療法はありませんが、お薬を用いて大腸の炎症を抑えられる可能性があります。

お薬を用いた治療には、時期に応じて、「寛解導入療法」と「寛解維持療法」の2つがあります。

寛解導入療法は、炎症が起きて症状が強く現れている悪い時期の「活動期」に、お薬で炎症を抑えて落ち着かせる治療法です。

一方、寛解維持療法は、症状が落ち着いている良い時期の「寛解期」に、その状態を長期にわたって維持するために、再び大腸に炎症が起きること(再燃)を防ぐ治療法です。

潰瘍性大腸炎のお薬を用いた治療(薬物療法)

ひとくちメモ

潰瘍性大腸炎では、どんな治療を行うの?

潰瘍性大腸炎では、ストレスの少ない規則正しい生活や、暴飲暴食を避けバランスの取れた消化しやすい食事を心がけながら、重症度や炎症の範囲などに応じて、お薬を用いた治療や外科的治療などが行われます。

潰瘍性大腸炎のお薬には、「飲み薬」や「注腸剤」、「坐薬ざやく」、「注射剤」など様々な種類があるほか、服用回数もお薬によって様々ですので、お子さんの症状や希望に合わせて、主治医と相談しながらお薬が選ばれます。

なお、潰瘍性大腸炎の薬物療法では、過剰になっている免疫を抑えるお薬を用いることもあるため、感染症の流行時やワクチン接種時などには注意が必要な場合もあります。気になる場合は主治医にご相談ください。

症状が落ち着いている寛解期であっても、治療を行わないと再燃するおそれがあります。そのため、寛解期でも勝手に治療を止めたりせず、主治医の指示通り、治療をきちんと続けることが大切です。

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女性 Dr

症状が治まったら、治療を止めても大丈夫?

潰瘍性大腸炎は、
「粘膜治癒ちゆ(粘膜の炎症がない状態)」を目指して、
治療をきちんと続けることが大切です。

下痢や血便などの自覚症状が治まっても、大腸内視鏡検査を行ったところ約半数の患者さんは大腸の粘膜に炎症が残っていたとの報告があります1)

粘膜治癒(粘膜の炎症がない状態)に至っていない場合は、粘膜治癒の人と比べて再燃しやすいため、治療をきちんと続けて、粘膜治癒を目指すことが大切です。

※再燃:
再び大腸に炎症が起き、寛解期から活動期になってしまうこと。
1) Rosenberg, L. et al.:Inflamm. Bowel. Dis. 2013 ; 19(4): 779-784
Dr

自覚症状と大腸粘膜の炎症レベルの変化
—粘膜治癒(粘膜の炎症がない状態)になるまで—

Dr
鈴木 康夫.:IBD. Res. 2014;8(3):207-210より作成
男性 Dr

症状が治まっている寛解期も、
お薬を使い続けたほうがいいの?

再燃させないためにも、
主治医の指示通りにお薬を毎日きちんと飲み、
注射薬なども使い続けることが大切です。

成人で2年間にわたり「お薬をきちんと飲んでいた人」は、「飲み忘れが多かった人」に比べて、寛解状態を維持できていた人が多いことがわかりました。

症状が治まると服薬や注射も忘れがちになりますが、寛解を長く維持し、再燃させないためにも、お薬はきちんと使い続けましょう

Dr

成人の潰瘍性大腸炎患者さんが2年間にわたり「寛解を維持した割合」海外データ

成人の潰瘍性大腸炎患者さんが2年間にわたり「寛解を維持した割合」
Kane, S. et al.:Am. J. Med. 2003;114(1):39-43より作図

【監修】
国立成育医療研究センター 消化器科 診療部長/小児炎症性腸疾患センター センター長 新井 勝大 先生

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