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こころのコラム

人間関係で仕事に行きたくないと思ったとき

作成日:2021.09.10

はじめてのこころの相談

誰でも一度は「仕事に行きたくない」と思ったことがあると思います。その理由は多岐に渡り、職場の人間関係の悩みや仕事内容への悩み、また、勤務体制やシフトなど、働く方それぞれが、それぞれのストレスなどを抱えていることが多いでしょう。今回は、その中でも、職場で働くうえで切っても切り離せない「人間関係」に注目します。職場の人間関係を理由に、仕事に行きたくなくなったときの対処法について、具体的にご紹介していきます。

1. 人間関係で仕事に行きたくなくなったときの対処法

何ごとにおいても、私たちの生活は人と人との関わりの中でつくられています。会社では、上司と部下、同僚、先輩や後輩など、さまざまな関係性がそこに存在します。人間関係が原因で仕事に行きたくないと感じた場合、会社の人間関係は変えられないのではと、糸口が見つからない不安に襲われてしまうこともあります。ここでは、自分でできる6つの対処法についてご紹介します。

1.1. 会社の人と距離を保つ

人間関係に悩んだとき、まずは会社の人との距離を保つようにしましょう。会社での付き合いは、家族や友人との付き合いとは違います。「距離を保つ」というのは、近すぎず、遠すぎずという意味です。つまり、適度な距離を見つけていくことが必要になるのです。

皆さんの職場において会社の人との距離はどうでしょうか?ここでのポイントは、プライベートと仕事上の距離を分けることです。会社の人との距離が近すぎると感じている場合には、プライベートで会う頻度を減らしたり、仕事以外の話をあまりしないようにしたりすることも大事です。

反対に、距離が遠すぎると感じている場合には、自分から会社の人に積極的に話しかけたり、会社の人と過ごす時間を増やしたりすることが効果的です。近すぎず、遠すぎない距離とは、個人差が大きいものです。人それぞれ、適度な距離は違うため、まずは、会社の人との距離を思い出し、どのようなところにストレスや悩みがあるのかを確認することから始めてみてください。そこから、ゆっくりと自分に合った会社の人との最適な距離を見つけていきましょう。

1.2. 知人、友人に相談する

人間関係について、ひとりで考えていると、なかなかひとつの考えから抜け出せず、さらに苦しくなってしまうこともあります。そのようなときは、信頼できる知人や友人に相談することをおすすめします。

人に話すことで、自分の考えや想いを整理することができたり、客観的なアドバイスをもらえたりします。ここでのポイントは、同じ会社に勤める知人や友人に相談するのか、仕事とは全く関係のない知人や友人に相談するのかという点です。どちらもメリットとデメリットがあります。

まず、同じ会社に勤める知人や友人に相談するメリットは、具体的に職場の状況を知っているケースが多いため、より深い相談をすることができる点です。しかし、デメリットとして、先に説明したように会社の人との距離を保つということが難しくなることや「人間関係の相談をしてしまったけど、相手に知れてしまったらどうしよう」など、不安になってしまう場合もあります。続いて、仕事とは全く関係のない知人や友人に相談するメリットは、職場にその相談内容が漏れてしまう心配をすることがなくなり、安心して相談できる場合が多くなります。

また、学生時代の友人など、相談者の性格を知ってくれている場合も多く、親身になって話を聞いてくれるでしょう。ただしデメリットとして、職場が同じではないため、職場の状況を深く理解するのが難しく、説明が必要な場面が多くなる可能性があります。

1.3. なぜ苦手なのか原因を考える

人間関係が苦手といっても、原因はさまざまあります。なぜ苦手なのかという原因を考えることが、仕事に行きたくないという感情と向き合う大切なステップになります。

まず、どのようなパターンの人間関係が苦手なのでしょうか?たとえば、特定の誰かが苦手というパターンがあります。強い口調で話してくる○○先輩が苦手、話を聞かずに指示ばかりする課長が苦手など、特定の誰かである場合、その方との関係性を改善していく必要があります。意識をすることで良好な関係を築ければ、それに越したことはありませんが、改善することが難しい場合には、仕事上の付き合いと割り切って、少し距離を置いて仕事をするのも大切です。

もうひとつのパターンとしては、特定の誰かではなく、そもそも人間関係をバランスよく構築することが苦手で、会社の環境に馴染めていない場合です。ここで大事にしたい考え方は、誰とでも社交的であることが100点ではありません。一人ひとり、得手不得手があります。人と接するのが苦手な方は、そのような自分の特徴を認めてあげてください。「社交的が100点、それに満たない自分は足りていない」などと考える必要はありません。自分の頑張ることができる尺度の中で、小さな目標を決めて、まずは挨拶をしてみるなどできるところから始めていきましょう。

1.4. 思い切って会社を休む

人間関係で悩み始めると、会社へ行きたくないだけでなく、会社へ行くことに対して不安や恐怖心が生まれてしまう場合もあります。こころの健康があってはじめて、私たちは会社の中で仕事と向き合うことができます。

人間関係を理由に会社へ行きたくないときには、思い切って会社を休むことも大切です。会社を休むことで、苦手な人間関係と物理的にも離れることができるため、こころと身体の休養をとることができます。「思い切って」という言葉はとても大切で、多くの場合「会社を休んではいけない」と、自分自身に負荷をかけている場合があります。たとえ有休が残っていたとしても、これといって具体的な症状がないと、理由もなしに会社を休んではいけないと抵抗を持ってしまうものです。行きたくないという気持ちが続くと、こころの健康が崩れはじめます。これは、心が風邪をひいている状態です。そんな時は、休んではいけないというピンと張りつめている気持ちをいったん緩めてみましょう。休む勇気も大切です。思い切って会社を休み、毎日頑張ってきたご褒美休暇だと思い、自分の好きなことをしながら、のんびりと過ごすことをおすすめします。

1.5. 自分と向き合う時間を作る

人間関係が上手くいかないと、そのことにとらわれてしまい、自分自身を見失ってしまうことがあります。そういったときには、自分と向き合う時間を作ることをおすすめします。

実際に、対人関係へのストレスは、平成30年に厚生労働省が調査した労働安全衛生調査でも、1位「仕事の量・質」、2位「仕事の失敗、責任の発生等」に次いで、第3位となっています。会社に勤めていると、毎日同じメンバーと顔を合わせて過ごすことが多く、仕事をするために来ているはずなのに、気がつけば、周りからどう見られているか、好かれるためにはどうしたらいいかなど、人間関係にとらわれてしまいがちです。自分と向き合う時間を作り、自分の大切にしている価値観を思い出してみましょう。会社に勤めたいと思ったきっかけや目標、夢などを整理してみてください。大切にしていた自分の軸を思い出すと、昨日までとらわれていた人間関係へのストレスが少し小さくなることがあります。

人間関係は、もちろん大事なものです。ただし、大事なものはそれだけではありません。自分の大事なものを思い出すために、自分と向き合う時間を作ってみてください。

1.6. キャリアプランを明確にする

人間関係に関するストレスの中には、人と比べてしまうことで劣等感を感じたり、焦りを感じたりすることもあります。また、仕事をする目的が、職場の中で嫌われないようになど、本質とずれてしまう場合もあります。先に伝えた自分と向き合う時間を作るのと同じように、自分自身のキャリアプランを明確にしていきましょう。

会社の中でやりたいこと、今後の目標やビジョンなどを整理していくことが大切です。自分のキャリアプランがしっかりすると、会社の人との距離も「仕事上の距離」と割り切ることができ、「仕事は仕事、プライベートはプライベート」と自分の中で、会社の人間関係を分けて考えられるようになる場合が多いです。その点が整理できると、おのずと何のために仕事へ行くかということが明確になります。「仕事へ行きたくない」と思った時期が、良いターニングポイントになり、次のステップに進める場合もあります。これを良い機会と捉え、ぜひ、自分自身のキャリアプランを明確にして、新しい一歩を歩み始めてください。

2. 自分だけでは何ともならない場合

会社に行きたくないという気持ちと向き合う6つの方法をご紹介しましたが、それを試しても良くならない場合もあります。自分だけでやる対処法では、今ある気持ちをリセットできない場合、更なる対策が必要ということになります。ここでは、3つの方法をご紹介します。

2.1. 部署を異動させてもらう

苦手な人間関係と物理的に距離をとる方法として、部署を異動させてもらうという手段があります。特定の誰かとの人間関係がこじれてしまった場合などに有効です。また、部署によっては、同僚とのコミュニケーションが少なく、それがストレスになっている場合もあります。

このように自分だけでは解決が難しい場合、部署を異動させてもらえるよう、上司にお願いしてみることをおすすめします。そのときの伝え方としては、自分自身の苦手なところと得意なところを説明できると良いでしょう。安易に「○○さんが苦手」「この部署は私には合っていない」と伝えるのではなく、自分の得手不得手を整理し、新しい職場へ異動できれば、自分がどのように活躍できるかを伝えられるようにすることをおすすめします。

2.2. 転職する

異動希望を出したがなかなか異動できない場合や、会社によっては異動できる部署が他にない場合もあります。また、就職をしてみたら、そもそも、人とのコミュニケーションが苦手なことに気づき、会話や交流が少ない仕事に変えたいという場合もあるでしょう。

そんな場合は、ひとつの選択肢として、転職も視野に入れてみましょう。転職活動を進めるときには、会社に求めるものを整理し、優先順位をつけて探していくことをおすすめします。特に、良好な人間関係を求める場合には、職場を見学して社内の雰囲気を知ることも大切です。転職サイトによっては、相談やサポートがしっかりしているところもあります。
新しい第一歩に向けて、まずは職場に求めるものを具体的に整理するところから始めていきましょう。

2.3. スキルを身に付ける

時間や場所に縛られず働けたら、人間関係にも悩まなくていいのにと考える方もいると思います。コロナ禍でリモートワークが増えたことにより、在宅ワークに適したスキルを身に付けることで、会社に行かずとも働ける環境が整ってきました。
会社に縛られず働くために必要なスキルとしては、ITスキルが中心になります。プログラミングやマーケティング、ライティング、デザイン、管理業務など、会社によっては正社員であっても会社には出社せず、自宅やカフェなどを使って仕事をすることが可能です。
自分のやりたい仕事をやりたい場所でできたら、人間関係に左右されず、仕事に集中することができます。それぞれのスキルは、オンラインで勉強できるものも多いため、自分に合った方法で学んでみてください。

3. まとめ

いつの時代でも、職場でのストレスの上位にランクインする「人間関係」。人間関係が影響し、仕事に行きたくなくなったときの対処法をご紹介してきました。人間関係と一口にいっても、人それぞれ悩みは違い、職場環境も違います。
なかなか近くに相談できる人もおらず、一人で悩んでいる方も多いと思います。何よりも大切なものは、自分のこころです。そして、そのこころを守ってあげられるのは、自分自身です。「行きたくない」というのは、「助けて」というこころのサインだと思って、まずは、会社の人と距離を保ったり、友人に相談したり、思い切って会社を休んだりするなど、今の自分に合ったできることから試してみてください。

自分の努力だけでは解決が難しい場合は、人間関係を一新できる異動や転職など職場環境を変えることや、メンタルクリニックなどで医師に相談することも視野に入れてみてください。

監修

日本うつ病学会 理事長 三村 將 先生

監修医師紹介ページ

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