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はじめてのこころの相談

はじめてのこころの相談

作成日:2021.09.10

昨今、ストレスや疲労、自粛疲れなどさまざまなきっかけでこころの不調に悩む人が増えてきていると言われています。こころの不調がメディアでも多く取り上げられることで、「こころの相談」に対してのイメージも和らいできました。しかし、イメージが和らいできていても、こころの相談について「周囲に知られたくない」「どこに相談すればいいか分からない」「精神科や心療内科はハードルが高い」などの不安や抵抗感を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?こころの不調はどこに相談すればよいのか、具体的にどのように対応してもらえるのかなど、初めてこころについて相談をしたいと思った方の疑問にお答えします。

1. どこに相談しに行ったらいいの?

どこに相談しに行ったらいいの?

こころの相談をするのに不安を持っている方も多いでしょう。精神科、心療内科、メンタルクリニックの違いなど病院選びの疑問についてお答えします。

1.1. メンタルクリニックって?

メンタルクリニックとは、外来を中心に、こころの不調全般を扱う診療所を指します。メンタルクリニックは、精神科領域の医師が在籍している無床もしくは19床以下の医療機関と定められています。もちろん、より専門的な対応が必要な場合、適切な病院を紹介するなどの対応も可能です。

1.2. 精神科、心療内科、メンタルクリニック

元々、精神科/精神神経科とは、脳が原因で起こるこころの不調全般を扱う診療科で、具体的には不安や落ち込み、イライラ、落ち着きのなさ、幻覚・幻聴、物忘れ、過眠・不眠などが診察の対象となります。

一方、心療内科とは、さまざまなストレスが要因となり身体に現れる症状、例えば心理的なきっかけで起こる吐き気や頭痛、全身倦怠感、腹痛・下痢、めまい・耳鳴りなどが診察の対象となります。こころの不調では、身体の症状も同時に出る場合が多いので、一般的にはメンタルクリニックでは両方ともカバーしています。

1.3. 内科などの身体科とメンタルクリニックとの違い

内科などの身体科は症状の原因となる身体の中の異常に焦点を当てて治療します。一方で、メンタルクリニックでは、さまざまな検査結果で原因が分からないようなこころの症状に対して治療を行います。もちろん、こころの不調を診る上でも、身体に不調が隠れていないか調べることはとても大事なので、メンタルクリニックでも、身体に不調が隠れていないか、常に注意しながら治療が進んでいきます。

1.4. クリニック・病院選び

クリニック・病院選びの際は、通いやすさが一つの指標になるでしょう。定期的な通院が必要になることが多く、一回の診察に時間がかかることも多いからです。

また、どんなサポートを求めるかによっても、選ぶクリニック・病院が変わってきます。例えば、就労できなくなってしまい、社会復帰を目指すという場合には精神科におけるリハビリテーション(精神科デイケア)のあるクリニック・病院が良いでしょう。既に入退院を繰り返しており、外来だけでなく、日常生活の場面でも経過を見てほしいという場合は、訪問看護を扱っているクリニック・病院の方が良い場合があります。また、投薬治療以外にもカウンセリングを扱っているクリニック・病院の方が治療の選択肢が広がるかもしれません。

ただ、初めてこころの相談をする場合は、診察してみないと分からないことも多いので、まずは、通いやすいクリニック・病院に行き、相談するのが良いでしょう。

2. よくある疑問・質問

初めての受診で不安を抱える方は多いと思います。ここではクリニック・病院を受診すべきかどうか考えている方によくある疑問や質問についてお答えします。

2.1. 自分は相談してもいい症状なのかわからない
初めてこころの症状が現れた場合、本当に受診して良いのか、病院で治療すれば治るのか不安になる方は多いと思います。その症状でつらい・困っているという場合、クリニック・病院でしっかり相談にのってもらえますので、まずは受診してみるのが良いでしょう。
2.2. どんな治療をされるの?
薬物療法や精神療法(カウンセリングなど)を行うのが一般的です。加えて、同じような症状の方と集団で話し合う集団精神療法や、家族を交えて話し合う家族療法、他の患者さんと一緒にレクリエーションや創作活動を行う作業療法などもあります。
これらの治療法を組み合わせて、いわば精神科におけるリハビリテーションの機会を提供する精神科デイケアと呼ばれる外来施設を持っているクリニック・病院もあります。もちろん、精神科の病気の中では入院が必要なものもありますが、そのような場合はクリニックでは対応できないことが多いため、入院施設を持つ病院に紹介されることになります。
2.3. たくさん薬を処方されるイメージがある
精神科というと薬が大量に処方されたり、一度治療を始めるとずっと薬を飲み続けたりしないといけないというイメージもあるかもしれません。しかし、実際には症状に合わせた薬の選定や、用量・期間の最適化を図り、経過を見て徐々に量を減らすことで、完全に薬をやめられる場合もあります。また、昔と違い依存性が少ない薬も多くあります。
2.4. 診療費用が気になる
精神科の診察は、診療費が高額になるイメージがあるかもしれません。しかし、基本的には保険診療ですので、一般的な内科受診と変わらないと考えて頂いて構いません。ただし、カウンセリングは自費になる場合がありますので、必要性や値段に関しては主治医としっかり相談する必要があるでしょう。また、精神疾患の治療に掛かる医療費を軽減する公的な制度である「自立支援医療」を使える場合もあり、その場合、医療費の自己負担額は原則1割まで軽減されます。そのような制度の対象になるかどうか、診察の際に相談するとよいでしょう。
2.5. 知人や周りの人に知られたくない
こころの不調について、周りの人に知られたくないという人も多いかもしれません。しかし、医師や医療スタッフには守秘義務がありますので、勝手に患者さんの情報が外部に漏らされることはありません。また、よくある疑問として健康保険証を使うことで知られてしまうのではないかという不安をお持ちの方もいらっしゃいますが、基本的には勝手に通院歴を調べられることはありませんので、自分から言い出さない限り、知人や周りの人に知られる可能性は少ないです。
2.6. 待ち時間は?土日祝日の診療は?
待ち時間は病院によりますが、基本的には予約制なため、大きく時間がずれることは少ないと思います。ただ、診察が予定時間通りに進まないこともありうるので、ある程度の時間の余裕は持った方が良いかもしれません。また、土日祝日も診察をしているクリニック・病院もあります。仕事が忙しいなどの理由で平日受診ができない場合、そのようなクリニック・病院を探すのも良いかもしれません。

3. 初診時の準備と診療の流れ

初診時の準備と診療の流れ

初めての受診で何を準備すればよいのか、どのような流れで診察が行われるか知りたい方も多いと思います。ここではクリニック・病院を受診しようと考えられた方が気になる疑問についてお答えします。

3.1. 予約制のクリニック・病院が多数

クリニック・病院では、予約制をとっている場合が多いようです。特に初診の時はしっかり話を聞くため、30分以上時間がかかることが多いからです。再診の時も、症状に応じて早く終わる場合もあれば、時間がかかる場合もあるので、基本的には予約制でしっかり時間が確保されていることが多いようです。

3.2. 診療前に準備すべきこと

診察前に準備することはほとんどありませんが、一つ挙げるとすると、限られた時間の中で確実に症状を伝えるため、メモにまとめるのは良いかもしれません。具体的には、今、何に困っている、いつから困っている、どのようなときに症状が出る、思い当たる要因、これまでかかったことのある病気などをまとめておくとスムーズな診察につながると思います。

3.3. 診療時間の目安

初診の際はしっかり症状を聞く必要があるため、30分以上かかることが多いようです。再診の場合は疾患の種類や症状の程度によりますが、長い場合は数十分、症状が安定している場合は数分で終わる場合もあります。診察が短いからといって先生が手を抜いているわけではありません。

3.4. 実施する検査

初診の場合、内科的疾患を除外するため各種検査を行う場合もあります。例えば血液検査や心電図測定などを行う場合は多いでしょう。加えて、症状に応じて心理検査・性格検査といったこころの検査を行うこともあると思います。時間がかかる検査が必要な場合、後日予約を取る必要がある場合もあります。

4. 通院や再診・転院について

実際に通い始めた場合、どのくらいの頻度で通院するのか、引っ越しなどで通えなくなった場合はどうするのかなど、さまざまな疑問がわいてくると思います。実際に日常生活で通院することを考えた場合に気になる通院の頻度や転院に関する疑問についてお答えします。

4.1. 通院の頻度

通院の頻度は疾患や症状の程度によりますが、特に症状が不安定な場合や新たに薬を導入する場合は1~2週間といった頻度での通院が必要になる場合が多いようです。しかし、症状が安定すれば1か月に1回など診察の間が空くようになります。その中で徐々に治療内容を調整していき、少しずつ症状が改善していくイメージです。

4.2. 転院は紹介状が必要になる場合も

通院中に転院が必要になる場合もあると思います。引っ越しなどによって距離的に通えない、主治医との相性が良くないなどさまざまな理由が考えられます。

転院の際は紹介状が必要になる場合があります。大きな理由として、治療経過の把握があります。精神科の薬が効くか効かないかは、個人差も大きいため、さまざまな薬を使いながら自分に合ったものを探していくこともあります。そういった場合どういった薬では効果があり、どういった薬では効果がなかったかといった情報は、転院先で診察をする際にとても重要になります。

加えて、依存性のある薬物を重複して出さないためにも紹介状が重要な役割を果たします。薬に依存してしまった場合、複数のクリニック・病院で同じ処方をお願いする患者さんもいますが、そのようなことを防ぐためにも紹介状が効果的です。

また、転院したいと患者さんが感じていること、その心の動き自体が治療の結果であることもあります。そのような場合、本当に転院が必要かも含めて主治医としっかり相談することで治療が進む可能性もあります。こうした理由により転院を検討する際は、一度主治医と相談すると良いでしょう。

5. まとめ

クリニック・病院ではこころの不調に精通している医師が、それぞれの症状に合わせて患者さんと一緒に治療を進めていきます。こころの相談というと特殊なイメージを持たれるかもしれませんが、一般的なクリニック・病院の受診と大きくは変わりません。治療に関しても、さまざまな選択肢の中から、より良い方法を考えていくことになります。

ただ、こころの症状を治療するという特性上、特に初診の際は、時間がかかることがあります。医師が話をしっかり聞くことで、症状を正確に把握するのはもちろん、患者さんと信頼関係を築く必要があるため、どうしても一般的な病気やけがより時間がかかります。

こころの相談をお考えの際は、症状が出る場面、思い当たる要因、これまでかかったことのある病気などを話せるように準備した上で、お住まい、職場や学校から通いやすい場所にあるクリニック・病院に相談することをおすすめします。

監修

慶應義塾大学病院 三村 將 先生

はれそら監修医師紹介ページ

本サイトに掲載された健康情報は医師や専門家の監修したものですが、啓発を目的としたものであり、医療関係者に対する相談に代わるものではありません。治療については、個々の特性を考慮し医師等の医療関係者と相談の上決定してください。

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