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こころのコラム

なんとなく仕事に行きたくないときは

作成日:2021.09.10

はじめてのこころの相談

新型コロナの感染拡大で、緊急事態宣言や新しい生活様式など、私たちの生活は一変しました。また、リモートワークや時差出勤など、私たちの周りの「働き方」も変わりました。ここでは、コロナ禍以降「仕事に行きたくない」と感じるこころに注目していきます。主な理由や控えるべき行動、おすすめの行動などをご紹介していきます。

1. コロナ禍以降仕事に行きたくない人は多い

コロナ禍により、私たちの生活は大きく変化しています。その影響を受け、コロナ禍以降「仕事へ行きたくない」と感じる方も増えています。理由として考えられるのは、一つ目に生活の基盤となるこころの健康が崩れかけていること、二つ目は通勤スタイルの変化等です。私たちには、先行きの見えない不安が常にのしかかっています。感染の拡大が繰り返し起こり、いつ感染するか分からないという感染への不安や、経済状況が悪化している方は家計への不安もあります。一人ひとりの抱く不安が大きくなったことで、こころのバランスを崩しやすい状況になっているのです。また、通勤時や会社での感染への不安から職場へ足が向かなくなったり、リモートワークが増えたことにより通勤を億劫に感じたりする人も増えています。会社ごとに対応が違うことから、勤務先に対する不満が生まれ、それが理由となり、仕事への意欲が下がってしまっている方もいるでしょう。

2. 仕事に行きたくない主な理由

どのような理由で、仕事に行きたくないという感情は生まれてくるのでしょうか?厚生労働省の雇用動向調査を見ると、どの年においても、人間関係や給料等の職場環境を理由に転職する方が多くなっています。転職するまで至らなくても「仕事に行きたくない」と感じたことがある方は多いと思います。ここでは、仕事に行きたくないと感じる主な理由を4つご紹介します。

2.1. 人間関係

職場へ行くと、どのような関係であれ、人とのコミュニケーションは避けられません。職場に苦手な人がいたり、意見がぶつかり合ってしまったりしたときには、誰でも「仕事に行きたくない」と思うものです。特に苦手な相手が直属の上司であったり、毎日顔を合わせる同僚であったりすると、なおさらです。人事異動の時期でない限り、なかなかメンバーの入れ替えもないため、一度つらくなると会社に行くこと自体がこころの負担になってしまいます。

また、コロナ禍でリモートワークが増えたことにより、雑談などのコミュニケーションの機会が減り、職場内の人間関係も希薄になりがちです。オンラインでは相手の思いを汲み取ることも難しく、疑心暗鬼になってしまうこともあるかも知れません。リモートワークが続き、たまに出社をするという勤務体制の会社では、関係性を深めることができないまま会うことになり、仕事に行きたくないという気持ちにつながってしまうようです。

2.2. 業務内容

行きたくなくなる理由が、業務内容にある場合もあります。たとえば、仕事の内容がつまらない、変化がなく億劫である、やる意味を感じないなど、退屈さからくる「行きたくない」という感情もあれば、仕事内容が過酷であり、給料と見合っていない、体力的につらい、仕事量が多すぎるなど、心身ともに負担があり「行きたくない」という場合もあります。

また、密を避けるため、勤務場所の分散や時短勤務、出社人数を減らすなどの体制をとっている会社もあります。それに伴い、担う仕事量が増大したり、急な異動や慣れない業務を担当したりするなど、仕事内容に変更がある方もいます。人それぞれ、ストレスを抱く業務内容は違いますが、コロナ禍により業務内容が変わったことで仕事への負担感が強まり、仕事へ行きたくないと感じている方も増えているようです。

2.3. 生活リズム

コロナ禍により、外出する機会が減ったことで、太陽の光を浴びる時間も減り、運動不足を感じている方もいます。太陽の光はこころを元気に保つ役割や体内時計を正常に戻す役割もあったため、室内で過ごす時間が増えたことで生活リズムも乱れやすくなっています。生活リズムが整わないと、寝ても寝ても眠いなど、睡眠の乱れにもつながります。眠たい朝は特に、会社に行くことへ負担を感じませんか?仕事に行きたくないという感情は、朝に感じることが多いといわれています。運動不足も同様です。身体を動かさないことでリフレッシュすることができず、日々がマンネリ化してしまうことがあります。生活リズムが乱れて気持ちが沈みがちになる、仕事への意欲もなくなり、会社へ行きたくないと思えてきた、こういったサイクルを生み出してしまうのです。

2.4. 在宅勤務

これは、コロナ禍の影響で気がついたという方も多いと思います。緊急事態宣言に伴い、通勤して職場で仕事をするというスタイルからリモートワークなどの在宅勤務に切り替わり、在宅勤務の良さを知ったことで、いざ通勤となると、会社に行くことが嫌になってしまう状況です。同じ業務を家でできる場合、通勤がなくなることで、通勤時間を削減し、睡眠時間や自分の時間を増やせた、通勤ラッシュのストレスが減ったという声もあります。在宅勤務という選択肢が増えたことで、仕事へ行きたくないと感じる方も増えているようです。

3. 仕事に行きたくないときにやってはいけないこと

仕事に行きたくないと感じたとき、「休みたい」「辞めたい」という感情が生まれてしまうものです。しかし、その気持ちを優先して、無断欠勤を続けてしまったり、勢いで退職してしまったりするのは好ましくありません。だからといって、行きたくない気持ちを我慢し、勤務し続けることも体調を悪化させる原因になります。ここでは、仕事に行きたくないときにやってはいけないことを3つご紹介します。

3.1. 無断欠勤

「仕事に行きたくない」と感じて、仕事を休むことは悪いことではありませんが、無断欠勤はよくありません。無断で休むのではなく、職場に休む連絡を入れるようにしましょう。こころの調子を崩したとき、つい無断欠勤になってしまうのは、理由を言いづらいからだと思います。「行きたくないから休みます」というのも、確かに少し言いづらいかと思います。行きたくないのはこころの不調のサインとし、「調子が悪いから休みます」と連絡をしましょう。自分で連絡をすることに負担がある場合は、家族にお願いをしたり、手短に要件を伝えたりし、電話を長く続けないことも大切です。

3.2. 勢いで退職

退職や転職をすることも悪いことではありません。苦手な空間から離れるということは大切なことなので、職場を変えたことで気持ちも変わり、仕事へ向かう気持ちが変わったという方もいます。しかし、ここで注意したいのは「勢いで」という点です。退職後の生活を考えずに仕事を辞めてしまうと、次の就職先が見つからない場合があります。

特に、コロナ禍ということもあり、職種によっては経済的に大きな影響を受けています。それに伴い、求人数も減り、通常よりも再就職が難しい場合もあります。仕事を辞める場合には、勢いで退職をしてしまうのではなく、その後の生活や仕事を考えるなど、まずは準備をすることから始めましょう。

3.3. 我慢して勤務し続ける

仕事へ行くことがストレスとなり「休みたい」「辞めたい」と思っても、我慢して勤務し続けてしまう場合が多いです。職場に慣れていないことが原因で行きたくない場合には、勤務を続けることで改善されることもあるのですが、行きたくない気持ちに対して何も対処せず、「我慢」だけで乗り越えようとすると、体調はさらに悪くなってしまいます。こころが感じるつらさは、時間が解決してくれるものではありません。過度な我慢を続けると、「行きたくない」という気持ちだけでおさまらず、こころや身体の病気につながってしまうこともあるため、我慢して勤務し続けることは避けるようにしましょう。

4. 仕事に行きたくないと感じたときに試してみたいこと

先に、やってはいけないことを3つご紹介しましたが、ここでは、試してみたいことを6つご紹介します。人それぞれ、仕事に行きたくないと感じる理由はさまざまあり、本人の思う理由とは別のところに本当の理由がある場合もあります。理由探しではなく、いろいろと試してみて自分に合ったこころの安定を探すことが大切です。ぜひ、以下の方法を試してみてください。

4.1. 思い切って休む

仕事に行きたくないと感じたときには、そのこころを素直に受け入れ、思い切って休んでみましょう。こころが疲れてくると、不思議と「休んではいけない」「働かねばならぬ」と自分に対して厳しくなってしまう場合があります。行きたくないと感じるときは、こころと身体が休養を求めているサインでもあります。自分のこころを「休んではいけない」という気持ちから解放し、仕事を休み、のんびりする時間を作るようにしてみましょう。

コロナ禍の前は、体調が悪くても仕事は休みづらいという風潮もありましたが、コロナ禍以降は、感染対策として「体調が悪いなら自宅療養」という体制が基本になってきています。以前よりも休みやすくなっていることを、一つのチャンスとして捉え、活用させてもらいましょう。

4.2. 仕事終わりに自分へのご褒美を作る

がんばった自分を褒めるのは、大切なことです。その一つの方法が、仕事終わりに自分へのご褒美を作ることです。お気に入りのスイーツを食べるなど、気持ちが高まるものがよいでしょう。コロナ禍の影響もあり、なかなか「パーッと飲みに行こう!」という機会も減っています。みんなで集まって楽しむ機会が減っている分、ひとりで楽しめる食べ物などのご褒美を作ることをおすすめします。仕事をがんばった先に楽しみや目標があると、自分の気持ちを支えることができ、仕事へ行きたくないと沈みがちなこころを押し上げてくれる効果があるでしょう。

4.3. 知人友人に相談してみる

同じ職場の知人友人に相談する方法と、それ以外の知人友人に相談する方法があります。職場の方であれば具体的なアドバイスをもらえることが多くなります。また、職場以外の方であれば、職場では話せない愚痴なども聞いてもらえるなど、それぞれに良さがあります。相談はとても大切です。「話しても解決しないし」と諦めず、ぜひ話してみてください。

コロナ禍の影響もあり、食事に行ったり、飲みに行ったりしながら会うことが難しい場合もあります。しかし、オンラインが充実したことで、普段会えない遠くの知人友人と連絡を取り、顔を見ながら話せる機会も増えました。懐かしい田舎の友人に連絡してみるのもよいかも知れません。人に話をすることで、自分の考えを整理することができ、言葉にするだけでこころは少し楽になります。解決方法を知るためではなく、相談をする行動自体に、こころが安らぐ大きな意味があるのです。

4.4. なんのために働いているかについて考えてみる

仕事に対するやる気がおきず、仕事に行きたくないと感じている方もいます。一度、なんのために仕事をしているのか考えてみましょう。人それぞれ、仕事をする目的はさまざまです。今の仕事の先に目標があるなどキャリアプランがある方もいると思います。また、仕事は生活をするお金のためにやっているという方もいます。何が正解か、ではなく、自分の働く目的を知ることで、気持ちに整理がつき、こころが楽になる場合があります。

これまでは、日中は職場で働き、夜には接待や付き合いで食事に行くなど、自分の時間が少なかった方も多いと思います。コロナ禍で在宅勤務をしている方や会食の機会が減った方は、特にひとりの時間が増えていると思います。自分を磨くチャンスでもあり、自分の働き方や仕事について、じっくりと考えるチャンスでもあります。ぜひ、この機会に考える時間を作ってみてください。

4.5. とりあえず動き出してみる

気持ちを切り替えるためにも、転職を視野に入れてとりあえず動き出してみるのも、一つの方法です。動き出してみることで、視野が広がり、リフレッシュできる場合があります。「今の仕事しかない」「行かなくてはいけない」と見える世界が狭くなりがちですが、今後の人生の選択肢は無数にあります。

コロナ禍をきっかけに、リモートワークを基本としている職場もあれば、勤務時間が柔軟な会社もあります。転職するかしないかは後から考えるとして、視野を広げ、今を見つめ直すために、何か行動を始めるのも大切です。

4.6. お金のためと割り切る

仕事に「やりがい」「生きがい」をもっている人は素敵に見えるものです。しかし、誰もが仕事の中に、自分らしさや自分の生きがいを見出しているわけではありません。仕事はあくまで生活のためであり、お金が必要だからやっている、それも素敵なことです。お金のためと割り切ることで、会社への不満やストレスを軽減することができます。これは、目的を明確にし、こころを整理するためにも有効ですが、割り切ることで、プライベートを大切にできる効果もあります。仕事はお金のため、楽しさや生きがいはプライベートで充実させる、そういった働き方も大切です。

コロナ禍の今、リモートワークを中心に体制づくりをしている会社も増え、職場内の交流も減りました。自分らしいライフスタイルを確立しやすい時期でもあるため、お金のためと割り切るのには、よいタイミングかもしれません。

5. まとめ

コロナ禍以降仕事に行きたくないと感じる方が増えています。コロナ禍が続くこと自体が、私たちのこころの健康を害すことにもつながり、常にストレスがかかっています。これまでも、誰でも一度は「仕事に行きたくない」と感じたことがあると思います。ここでは、そう感じたときに試してみたい方法もご紹介してきました。今後不安が続くであろう世の中だからこそ、自分自身の気持ちに耳を傾け、少しでも疲れや負担があるときには、それを軽くできる方法を選べるといいですね。元気でなくてはいけないと気負うことなく、自分の気持ちに素直に過ごしてみてください。

監修

慶應義塾大学病院 三村 將 先生

はれそら監修医師紹介ページ

本サイトに掲載された健康情報は医師や専門家の監修したものですが、啓発を目的としたものであり、医療関係者に対する相談に代わるものではありません。治療については、個々の特性を考慮し医師等の医療関係者と相談の上決定してください。

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