持田製薬グループは、2023年6月にTCFD※(Task Force on Climate-related Financial Disclosures ; 気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言への賛同を表明し、TCFDの提言に沿った開示を行うべく、気候変動に関連するリスクと機会の評価や管理を進めています。今後さらに、関連する情報開示の充実を図っていきます。
※ 2023年10月解散し、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)へと統合
ガバナンス
環境に関連した重要事項を検討する機関として「環境対策委員会」(年2回開催、委員⾧:企画管理担当役員)を設置し、中⾧期的環境行動計画の策定や環境課題への対策を検討し、環境保全に向けた取り組みなどを推進するとともに、年間のCO2排出削減など環境保全活動の結果についても確認を行っています。また、「リスク管理委員会」(年2回開催、委員⾧:企画管理担当役員)を設置し、気候変動に係るリスクを含む持田製薬グループの事業経営全般に係る主要なリスクの管理体制を整備しています。
気候関連課題への取り組みは、「環境対策委員会」および「リスク管理委員会」と連携しながら、持田製薬グループ全体のサステナビリティ活動推進のために設立した「サステナビリティ委員会」(代表取締役の諮問機関、委員⾧:企画管理担当役員)において検討を進めています。「サステナビリティ委員会」は年2回 (または必要に応じ随時)開催されています。
また、これらの活動は、年1 回以上取締役会に報告され、活動改善に向けた議論を行います。
戦略
気候変動が当社事業に及ぼす影響について、1.5℃シナリオおよび4℃シナリオを用いて、気候変動に関するリスクと機会を特定しました。 脱炭素社会に向かう1.5℃シナリオは気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるSSP1-1.9を、温暖化が進む4℃シナリオはSSP5-8.5を参考にしました。 特定したリスクと機会は財務的な影響度と発生頻度を考慮して分析を行い、対応策の評価を実施しました。
リスク
| シナリオ | 分類 | 事象 | 内容 | 時期*1 | 対応策 | 影響度*2 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1.5℃ | 移行リスク | 脱炭素関連の政策・法規制強化 | 炭素税負担の増加 | 中期~長期 |
|
小 |
| 脱炭素関連の政策に対応した設備導入に伴う投資コストの増加 | 中期~長期 |
|
小 | |||
| 4℃ | 物理的リスク(急性) | 気象災害の激甚化、発生頻度上昇 | 台風や豪雨等の災害による操業中断 | 短期~長期 |
|
中 |
| 海水温上昇 | 漁獲量減少に伴うEPA製剤原料(魚油)の不足による出荷制限 | 中期~長期 |
|
小 | ||
| 物理的リスク(慢性) | 気温上昇 | 空調運転に伴うエネルギーコストの増加 | 中期~長期 |
|
小 | |
| 水不足 | 水資源の枯渇 | 中期~長期 |
|
小 |
機会
| シナリオ | 分類 | 事象 | 内容 | 時期*1 |
|---|---|---|---|---|
| 1.5℃ | 評判 | 企業価値向上 | 当社の気候変動への取り組みに対する顧客からの信頼獲得、ESG投資家からの評価向上 | 短期~長期 |
| 4℃ | 市場 | 疾病動向変化 | 気温上昇に伴う感染症等の特定の疾患に対する医薬品需要の増加 | 短期~長期 |
*1「短期」0~1年、「中期」1~5年、「長期」5~30年
*2「小」~100億円、「中」100億円~200億円、「大」200億円~
リスク管理
持田製薬グループに適用されるリスク管理規程を制定するとともに、持田製薬グループの事業経営全般に係るリスクの管理体制を整備し、気候変動を主要リスクの一つとして管理しています。リスク管理に係る役割を担う「リスク管理委員会」においては、各主要なリスクの責任部門・会社において策定した当該リスクが顕在化しないための予防策や顕在化した場合の対応策等について審議・監督しています。これらの活動は、年1 回以上取締役会に報告され、活動改善に向けた議論を行います。
指標と目標
2050年カーボンニュートラルに向けて、2030年度に2013年度比でCO2排出量46%削減(削減対象:スコープ1、スコープ2、営業車両)という目標を設定しています。
削減目標対象 CO2排出量
(単位:t-CO2)
| 項目 | 2013年度 | 2024年度(対2013年度比) |
|---|---|---|
| CO2排出量 | 17,900 | 12,956(▲27.6%) |
| - うちスコープ1 | 4,964 | 4,350 |
| - うちスコープ2 | 10,015 | 6,742 |
| - うち営業車両 | 2,920 | 1,865 |
スコープ別 CO2排出量(スコープ3)
(単位:t-CO2)
| 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
|---|---|---|---|
| スコープ3 | 4,442 | 186,435 | 168,976 |
※ 2022年度は、スコープ3のカテゴリー5、6、7、8、12を算出
2023年度より、スコープ3のカテゴリー1、2を新たに追加で算出を開始



