1トレプロスト吸入液とは

1はじめに

このウェブサイトでは、トレプロストの吸入療法を正しく安全に行えるように、薬剤や吸入器の準備方法や操作方法などに関して、できるだけ実際の手順に則して説明しています。
トレプロストの吸入療法を始めるときや、治療中に分からないことや困ったことがあるときにご覧ください。
また、ご家族や介助をされる方にも確認していただくようにお願いいたします。

医師、薬剤師など医療関係者の指示がこのウェブサイトと異なる場合は、医師、薬剤師など医療関係者の指示に従ってください。

2トレプロスト吸入液について

トレプロスト吸入液は、プロスタサイクリン誘導体と呼ばれる種類の吸入の薬剤です。

プロスタサイクリンは、血管を拡げるとともに血液を固まりにくくする作用をもつ生体内にある物質です。
トレプロスト吸入液の有効成分であるトレプロスチニルはプロスタサイクリンの誘導体(化学物質をすこし変化させたもの)です。プロスタサイクリンと同様に、血管を拡げ、また血液を固まりにくくすることによって、血液を流れやすくし肺動脈圧を下げるはたらきがあります。
トレプロスチニルは、トレプロスト注射液として2014年から日本で肺動脈性肺高血圧症の治療に使用されています。

トレプロスト吸入液(薬剤)

アルミ袋の中に6個の薬剤が封入されています。
1日に1個の薬剤を使用いただきます。
薬液の量は1個につき2.9ミリリットルです。

トレプロスト吸入液

製品改良等のため、予告なく外観または仕様の一部を変更することがあります

3トレプロスト吸入液の吸入方法

この薬剤は、専用の吸入器(TD-300/Jネブライザ)を用いて、薬液を霧状にしたものを吸入します。吸入操作の回数は1日4回です。詳しくこちらをご参照ください。

専用の吸入器

薬液が霧状になる(する)ので、それを吸入します。

専用の吸入器(TD-300/Jネブライザ)

製品改良等のため、予告なく外観または仕様の一部を変更することがあります

吸入の回数・間隔や増やし方について

トレプロスト吸入液は、医師の指示のもと、1日4回、専用の吸入器を用いて吸入します。吸入間隔は約4時間あけてください。
1回あたり3吸入からはじめ、副作用などを確認した上で、7日以上の間隔で、1回あたり3吸入ずつ、最大9吸入まで増やしていきます。副作用などの状況によっては、増やす幅を1または2吸入としたり、1回あたりの吸入数を減らすこともあります。

専用の吸入器(TD-300/Jネブライザ)

吸入タイミングの例

吸入タイミングの一例です。患者さんの生活スタイルにあわせ、食事の前後・食間などに吸入することが可能です。

4取り扱い上の注意点

トレプロスト吸入液および吸入器を取り扱う際は、以下に注意してください。

薬剤容器と薬液について

変色していたり、中に微粒子が見えたりするものは使用しないでください。

希釈したり、他の薬剤と混ぜたりしないでください。

容器や容器内の薬液は飲み込まないでください。

薬液が皮膚に付いたり、眼に入ったりしないように気をつけてください。薬液が皮膚に付いたり眼に入ったりした場合は、速やかに水で洗い流してください。その後、異常がみられた場合には医師に相談してください。

吸入について

吸入は、気温15~25℃の室内で行ってください。吸入時は十分に換気をしてください。

吸入を忘れてしまった場合は、気が付いた時点で吸入を行いましょう。それ以降、吸入間隔は約4時間あけてください。吸入を忘れてしまった時の対応をあらかじめ医師と確認しておきましょう。

薬液は1日の最初の吸入のときにすべて吸入器に移し、4回目の吸入が終了するまでは捨てないでください。4回目の吸入が終了した後、吸入器内に残った薬液は捨ててください。

保管について

アルミ袋を開封後、2ヵ月以内に使用してください。

未使用の薬剤はアルミ袋に入れ(遮光)、温度1~30℃で保存してください。

薬液がセットされている吸入器は、霧化セットにしっかりと栓(プラグ)を差し込み、直射日光を避けて温度1~30℃で保管してください。1日の吸入が終了した後の吸入器は、温度−5~40℃で保管してください。

吸入器について

吸入器は室内で静かに使用し、日光などの強い光源のもとで使用しないでください。液晶表示が乱れることがあります。

強い磁場のある場所に吸入器を置いたり、強い磁場のある場所で使用したりしないでください。(例:電子レンジ、磁気共鳴画像診断(MRI)装置など)

吸入器は無線通信機器(携帯電話など)から、1m以上離して使用してください。

トレプロスト吸入液および吸入器の使用方法や取り扱い上の注意点は、動画でもご覧いただけます。詳しくはこちらをご参照ください。