鳥取大学 原田先生に聞く!子宮内膜症の治療

【質問5】長くつきあう病気といわれますが、いつまで治療を続ければよいですか?

子宮内膜症で子宮と卵巣を摘出する根治手術を受けた場合、もう月経は起こりませんから、子宮内膜症が進行することはありません。ただし、閉経前に卵巣を摘出すると、急に卵巣からの女性ホルモンの分泌がなくなるため、更年期障害をはじめさまざまな影響が出てきます。このため、若くして根治手術を行った場合には、ホルモンを補充する必要が出てきますから、子宮内膜症自体の治療はなくなっても、治療を続ける必要があります。

自然に閉経した場合、子宮内膜症の進行は止まります。ただし、卵巣チョコレート嚢胞は閉経したからといって急になくなるわけではありません。年齢が高くなればなるほど、悪性化の可能性が高くなりますので、より慎重に経過をみていく必要があります。悪性の疑いがあれば、閉経していても、早めに手術を行います。

【質問6】子宮内膜症のために毎月、病院に行かなければいけないのが苦痛です。前向きな気持ちになるのは難しいのですが・・・。

婦人科の病気は子宮内膜症ばかりではありません。若年者に増えている子宮頸がんの早期発見のためには年に一度の検診が不可欠です。早期発見すれば、子宮を温存する簡単な手術で完治できる可能性の高いがんですが、自治体が行う子宮がん検診の受診率は2割以下と非常に低く、せっかくのチャンスを活かしていない女性が多いのは、とても残念なことです。また、性感染症のクラミジアは無症状のうちに進行し、骨盤内の炎症から不妊症になる可能性もある病気です。自覚症状が乏しいため、早期発見には検診が有効です。

子宮内膜症の治療のために定期的に婦人科を受診していれば、こうした他の病気のチェックも同時に行えるというメリットがあります。多くの女性にとって、産婦人科は行きづらいところだといわれますが、婦人科のかかりつけ医をもっていると何か心配なことがあったとき気軽に相談することができるので、他の病気の早期発見にも役立ちます。

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