子宮内膜症ってどんな病気?

子宮内膜症は、本来は子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜組織が、子宮以外の場所(卵巣、腹膜など)で増殖、剥離(はくり)を繰り返す病気です。子宮の内側からはがれ落ちた子宮内膜組織は、月経血として腟から体の外に流れ出ていきますが、子宮以外の場所で増殖した子宮内膜組織は腹腔内にとどまり、炎症や痛み、癒着(ゆちゃく)の原因になります。

子宮内膜症の発生しやすい場所の図

子宮内膜症ができやすい場所は、腹膜、卵巣、子宮と直腸の間のくぼみ(ダグラス窩)です。卵巣にできたものを卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)とよびます。ごくまれに、肺など遠く離れた臓器にできる場合もありますが、骨盤内にできるケースがほとんどです。

また、子宮内膜症であるにもかかわらず自覚症状がないこともあり、必ずしも進行期と自覚症状が一致しないのが子宮内膜症の特徴の一つです。それほど重症ではないのに痛みがひどい、かなり進行していてもほとんど痛みを感じないなど、症状には大きな個人差があります。

卵巣チョコレート嚢胞の図

卵巣チョコレート嚢胞では、稀に悪性化が見られたという報告もあります。卵巣チョコレート嚢胞と診断された人のうち0.7%に卵巣がんが認められたという報告もあるので、卵巣チョコレート嚢胞があることがわかったら、必ず定期的に検査を受けましょう。

子宮内膜症は良性の病気ですから、それ自体で命にかかわることはありません。症状のコントロールをしながら、閉経までの間、気長につきあっていく病気なのです。

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