不妊症を知ろう
不妊症について
不妊症とは
不妊症とは健康な男女のカップルが妊娠を希望し、避妊をせず夫婦生活(セックス)を営んで1年間を過ぎても妊娠しないことです。また、臨床上は、1年未満でも不妊症と診断することもあります。年齢が35歳以上になると妊娠率が低下しますので、不安があれば早めに受診し検査されることをおすすめします。
不妊症の頻度
日本では避妊をせず夫婦生活(セックス)を営んで1年で80~85%、2年で85~90%のカップルが妊娠していますので、約10~15%が不妊症と考えられます。また、一般に女性がもっとも妊娠しやすい年齢は、20歳前後です。30歳代後半になると、加齢とともに妊娠しにくくなり、だいたい45歳を過ぎると、妊娠に適した卵子ができなくなり妊娠の可能性は低くなります。
不妊症の原因
妊娠は、卵子と精子が出会い、受精し、着床して成立します。そのため不妊症では、女性側に原因がある場合と男性側に原因がある場合があります。
2003年に日本受精着床学会が行った不妊治療患者によるアンケート調査では、男性因子33%、排卵因子21%、卵管因子20%、子宮因子18%、免疫因子5%、その他4%でした。
■排卵因子
月経周期不全の人は、排卵(卵巣での卵子の形成および排出)障害の可能性があります。また、20代~30代でも、卵巣機能が極端に低下し無排卵におちいる早発卵巣不全があります。過度のストレスやダイエットも原因と考えられています。
■卵管因子
卵管の炎症などで卵管がふさがったり、卵管周囲が癒着(ゆちゃく)することによって卵子の取り込みが障害されることがあります。
■子宮因子
粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープなど子宮内膜の病気により、受精卵の着床障害がおこります。一方、子宮奇形は反復する流産の原因と考えられています。
■頸管(けいかん)因子
頸管(けいかん)粘液量が少なくなると、精子が子宮内や卵管へ十分な移動ができなくなります。排卵期の頸管粘液は透明性と粘稠性を増しますが、子宮頸部(しきゅうけいぶ)の炎症や手術などで頸管粘液が減少することがあります。
■免疫因子
免疫異常により精子を障害する抗体をもち、精子の運動性を妨げ、精子と卵子の受精を阻害することがあります。
■原因不明
不妊症の検査をしても、明らかな原因がみつからない場合です。原因不明の不妊は不妊症の1/3をしめるといわれています。
■性機能障害
勃起障害と腟内射精障害があります。
勃起障害は、ストレスなどで有効な勃起がおこらず性行為がうまくいかないことです。腟内射精障害は、性行為はできても腟内射精がうまくいかないことです。これらの障害は、動脈硬化や糖尿病が原因であることが多いといわれています。
■造精機能障害
精巣内での精子形成や運動能の異常で、精子の数が少なく、精子の動きが悪いのが軽度~中等度精液性状低下です。また、精液中の精子の数が極端に少ない(1/100以下)場合、あるいは運動率が極端に低い(20~30%以下)場合が高度精液性状低下です。
無精子症は、射精された精液の中に精子がまったくみられないことです。
■精路通過障害
精路(精子の通り道)が生まれつきふさがっている場合や鼠径(そけい)ヘルニア、睾丸(こうがん)の手術や精巣の炎症によりつまってしまう場合があります。無精子症や、精液中の精子数の極端な減少につながります。