不妊症を知ろう
不妊症の治療
不妊症は、その原因に応じた治療が必要です。原因がはっきりしている場合には、内科的治療(薬物療法)や外科的治療(手術)による原因治療を行い、その後排卵と受精を補助する方法へと進みます。保険適用できる治療や保険適用できない自費での治療があります。詳しくは産婦人科や泌尿器科など専門の施設にご相談ください。
治療と人工授精ならびに生殖補助医療(ART)
治療について※
■排卵因子
排卵誘発薬などによる薬物治療を行います。
■卵管因子
ふさがった卵管を通過させるための治療として通水治療や、腹腔鏡下または開腹による癒着剥離(ゆちゃくはくり)術、腹腔鏡または開腹により卵管形成術を行います。それでも妊娠しない場合には体外受精を行います。
■子宮因子
子宮内膜症が代表的な病気で、薬物治療や腹腔鏡または開腹による病巣の切除を行います。治療困難な場合には人工授精や体外受精、顕微授精を行います。
■頸管(けいかん)因子
子宮頸管(けいかん)に炎症などがある場合には、抗生物質で治療します。
また、粘液に問題がある場合にはホルモン薬で治療します。
■免疫因子
人工授精や体外受精を行います。
■原因不明
経過観察やタイミング法、排卵誘発薬による治療を行い、それでも妊娠しない場合には人工授精、体外受精、顕微授精を行います。
- ※人工授精、体外受精、顕微授精は2022年4月より保険適用となり、その他はおおむね保険適用です。
■性機能障害
基礎疾患がある場合は、基礎疾患の治療に加えて、抗うつ薬や勃起不全(ED)治療薬による薬物治療を行います。治療困難な場合には人工授精や体外受精、顕微授精を行います。
■造精機能障害
生活習慣改善により原因を除き、漢方薬やビタミン薬、ホルモン薬による薬物療法を行います。また、精索(せいさく)に静脈瘤(じょうみゃくりゅう)がある場合には、 精巣静脈を糸で縛る手術を行い、精子形成能を改善します。治療困難な場合には人工授精や体外受精、顕微授精を行うこともあります。
■精路通過障害
精路のふさがっている部分を除き精路を再建する手術を行います。この手術は自然妊娠が期待できる治療法です。治療困難な場合には人工授精や体外受精、顕微授精を行います。
- ※人工授精、体外受精、顕微授精は2022年4月より保険適用となり、その他はおおむね保険適用です。
人工授精ならびに生殖補助医療(ART)について※
■人工授精 AIH
採取した精液から運動している成熟精子だけを洗浄・回収し、排卵日の2日前から排卵日までの妊娠しやすい時期に細いチューブで子宮内に注入して妊娠を試みる方法です。
■体外受精 IVF-ET
経腟的に卵巣から卵子を取り出して(採卵)、体外で精子と受精させ、数日後に受精卵を子宮内に戻します(胚移植)。人工授精等の治療によって妊娠しない難治性不妊症に対して行われます。
■顕微授精 ICSI
1個の精子を細いガラス針の先端に入れ、顕微鏡で確認しながら卵子の中に直接注入します(卵細胞質内精子注入法)。
- ※2022年4月より保険適用となります。