1肺高血圧症の診断

まず、問診や、視診・聴診を行います。
次に血液検査、画像検査、呼吸機能検査などで詳しく調べていきます。

■ 問診、視診・聴診

  • 息切れなどの症状があるか、これまでにかかった病気や現在治療している病気があるかについて聞きます。
  • 首や胸の視診や、聴診を行います。

■ 検査

血液検査、心エコー検査、心電図検査、胸部X線写真(レントゲン)、胸部CT検査、肺換気-血流シンチグラム、呼吸機能検査、右心カテーテル検査などを行います。

検査

右心カテーテル検査で測定した、横になっているときの肺動脈の血圧が25mmHg以上の場合、肺高血圧症と診断します。
肺高血圧症と分かった場合は、さらにどのタイプの肺高血圧症かを診断していきます。

2肺動脈性肺高血圧症(PAH)とは

肺動脈性肺高血圧症(PAH)は、肺動脈の血管が過度に縮むことや、血管の壁が厚くなり血管の内側が狭くなることで、血液が流れにくくなり、肺動脈圧が高くなる肺高血圧症です。
原因が特定されていないもの(特発性)、遺伝子変異によるもの(遺伝性)、膠原病・先天性の心臓の病気・肝臓の病気などのほかの病気に関連して発症するものなどがあります。

■ 肺動脈性肺高血圧症の患者数

肺動脈性肺高血圧症は厚生労働省の指定難病に定められています。 患者数(受給者証所持者数)について、推移及び年齢別のデータを示します。
患者数は例年増加傾向にあり、令和3年度は4,319人でした。

肺動脈性肺高血圧症の患者数

3肺動脈性肺高血圧症の治療

■ 薬物治療

肺の血管をひろげるはたらきのある薬剤を中心に、患者さんによって薬剤を使い分けます。必要な場合は複数の薬剤を組み合わせて使います。

種類 はたらき
血管拡張薬 プロスタサイクリンおよびその誘導体、またはプロスタサイクリン受容体作動薬 肺血管をひろげ、また血液を固まりにくくする
エンドセリン受容体拮抗薬 肺血管を収縮させるエンドセリンという物質のはたらきを妨げる
ホスホジエステラーゼ5(PDE-5)の作用を阻害する薬および可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬 血管平滑筋の収縮をゆるめるサイクリックGMPという物質を増やす
利尿薬 体内にたまった水分やナトリウムを尿として排出することにより、血圧を下げたりむくみを改善し、心臓の負担を軽くする
在宅酸素療法 体の中の酸素を補充する

■ 手術療法

場合によっては肺移植が検討されることもあります。

心臓の負担を避けるポイント

肺高血圧症では、肺動脈圧が高くなることで右心室に高い圧力がかかり、心臓に負担がかかります。そのため、心臓の負担を避けることが必要です。心臓の負担を避けるポイントは、

  • 過度な運動を避ける
  • 禁煙をする
  • 塩分の多い食事を避ける
  • 飛行機の利用や高地への旅行を避ける
    (病状により、酸素療法を行うことで可能な場合もあります。主治医と相談しましょう。)
  • 妊娠・出産を避ける
  • 感染症にかからないようにする(外出時のマスク、うがい、手洗い、ワクチン接種)

などがあげられます。

持田製薬のお薬を使用されている患者さんへ持田製薬のお薬を使用されている患者さんへ