潰瘍性大腸炎の
主な症状・特徴
潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症が生じて粘膜が侵され、びらん(粘膜のただれ)や潰瘍(粘膜のはがれ)ができて、
腹痛や下痢、血便などの症状が生じるほか、関節、皮膚、目など全身に腸管外合併症を伴うことがあります。
- 腹痛
- 直腸の知覚異常
- 便失禁
- 下痢
- 慢性の経過
- (粘)血便
- 便意切迫感
- 日内変動
「便意切迫感」とは?
このように潰瘍性大腸炎の症状は多様で、患者さんのQOLに大きく影響することがあります。
その中でも特に「便意切迫感(突然感じる激しい便意)」は影響が大きく、
患者さんが便意切迫感により社交行事への参加を断念している※1、
潰瘍性大腸炎の症状が制御されている患者さんであっても便意切迫感、
下痢または血便の症状を経験している※2、といった報告もあります。
- ※1 Pakpoor J. et al.:Gastroenterol Hepatol (N Y)., 19(2), 95(2023)
- ※2 Carpio, D. et al.: Eur J Gastroenterol Hepatol., 28(9), 1056(2016)
「便意切迫感」に不安を
強く感じている
「便意切迫感」は、“突然かつ緊急に感じる排便の必要性” と定義されていま
す。※1-3
潰瘍性大腸炎の患者さんを対象にした調査結果をまとめた報告によると、潰瘍性大腸炎の症状が日常生活に与える影響として、
改善したい症状のトップは「便意切迫感」、次いで「下痢」「血便」「腹痛」が挙げられています。
潰瘍性大腸炎の症状のうち、
改善したい症状は何ですか?(n=501)
- ※1 Newton L. et al. J Patient Rep Outcomes. 2019: 3: 66. 本研究はイーライリリーアンドカンパニーの支援により行われた。
本論文の著者のうち5名は、イーライリリーアンドカンパニーの社員である。著者にイーライリリーアンドカンパニーより講演料、コンサルタント料を受領している者が含まれる。 - ※2 Buchmann P. et al. Digestion. 1981: 22: 310-316.
- ※3 US Department of Health and Human Service [FDA Guidance for UC Endpoints] 2016.
Available at: https://www.fda.gov/media/99526/download (Accessed August 2020).
患者さんへの調査より・便意切迫感の影響と実態
便意切迫感は「改善したい」症状でありながら、
「医療スタッフになかなか相談できない」という現状もあります。
そんな便意切迫感の生活や人生への影響と実態について、
患者さんを対象としたインターネット調査を行いました。(回答者数104人)
潰瘍性大腸炎における便意切迫感の影響と実態に関するインターネット調査/概要
- 調査対象
-
潰瘍性大腸炎患者※104人
(20歳以上65歳未満)
※潰瘍性大腸炎を現在治療中で、「トイレに間に合わないのではないかという不安感がある」と回答された20歳以上65歳未満の方。
本資料当該調査結果の言及においては「患者さん」と記します。 - 調査手法
- インターネット調査
- 調査地域
- 全国
- 調査期間
- 2022年12月
- 監修
- 日比紀文先生(慶應義塾大学医学部
名誉教授) - 実施者
- 日本イーライリリー株式会社
便意切迫感による
日常生活での困りごと/
便意切迫感の人生への影響
多くの患者さんが「トイレの待ち時間に不安を感じる」と答え、
「仕事・学校を辞めた」など、人生に大きな影響があった患者さんも少なくありません。
便意切迫感によって困っている、
悩んでいるのはどのようなことですか?

便意切迫感によって
人生・ライフイベントに
どのような影響がありましたか?

患者さんの便意切迫感との
付き合い方
多くの患者さんが「便意切迫感と上手に付き合っている」と考える一方、
便意切迫感に対処するために使っている時間について
「60分以上」と回答した患者さんも20%近くに上り、全員の平均時間は30.4分。
大変な状態が当たり前になっているなか、患者さんの工夫や努力によって
日常生活が維持されている可能性があります。
便意切迫感とどの程度
うまく付き合えていると思いますか?
「とてもうまく付き合えていると思う=10」から
「全くうまく付き合えていると思わない=1」
までの10段階

便意切迫感に対処するために使っている
時間について、
直近1週間の1日あたりの
平均時間を教えてください。

うまく付き合っていると
思っているが、
本当は
解放されたい「便意切迫感」
便意切迫感からくる不便や不安から解放されたいと思う度合いについて、
40%以上の患者さんが「とても解放されたい」と回答し、
「トイレを気にすることなく何でもできる生活をしたい」と答えた患者さんは98.1%に上ります。
便意切迫感に伴う不便や不安から、
どの程度解放されたいと思いますか?
「とても解放されたい=10」から
「全く解放されたいと思わない=1」まで
の10段階

トイレを気にすることなく、
何でもできる生活をしたいですか?

患者さんの声・周りの人々や社会に望むこと
「潰瘍性大腸炎との暮らしを話せる社会」の実現に向けては、
潰瘍性大腸炎の患者さんの声に耳を傾けることが大切と考え、日本イーライリリー株式会社は、
さまざまな年齢、罹患歴の潰瘍性大腸炎の患者さん6人にお集まりいただき、お話をお聞きしました。※1
「潰瘍性大腸炎との暮らしを話せる社会」の実現をテーマに、潰瘍性大腸炎についての経験談や、
「便意切迫感」についての率直なお気持ち、そして周りの人々、社会に望むことをお聞かせいただきました。※2
- 実施時期:2023年6月 主催:日本イーライリリー株式会社
- ご紹介するのは一部の患者さんのコメントであり、患者さんの全てに当てはまるものではありません。
職場の同僚には病気について伝えているし、家族ももちろん知っているが、潰瘍性大腸炎のホントのところは理解してもらえていないと感じる。
この病気は点ではなく線、つまりずっと続く大変なものだ、ということはなかなか伝わらない。
けれど以前「安倍さんと同じ、大変な病気なんだね」「調べてみたよ」と言ってくれる人がいて、とても嬉しかった。
興味を示してくれる、知ろうとしてくれる、そんな姿勢だけで、患者として救われるものがある。
中学生のころ、授業中何度もトイレに行くのが恥ずかしく、どうしたらいいか悩んでいた。
先生に相談したところ「トイレという表現ではなく、『保健室に行く』という言い方にしよう」と合言葉を決めてくださった。
潰瘍性大腸炎と共に暮らすには色んな工夫が必要だけど、
周囲の人に少し気遣ってもらったり協力してもらうことで、ずいぶん生活しやすくなる。
仕事を始めてから2年おきに3度も潰瘍性大腸炎の症状が悪化して入院した。
また、出張中にトイレから出られなくなって、会議をすっぽかしてしまったこともある。
そんな経験もあり「自分が不在になったときにどうするか」を常に考えて、今まで仕事をしてきた。
そして、職場でそれができる、理解してくれる同僚に出会えたことがありがたく、家では妻が明るく接してくれることに、救われていると感じる。
わたしは病気について周りの人に話すことに抵抗がなく、みんな病気について知っていて、何も言わずにいてくれている。職場でも自由にトイレに行けるが、トイレがいっぱいのときは本当にしんどい。我慢ができず違うフロアのトイレに行ったり。潰瘍性大腸炎の患者同士だと、お互い「わかるわかる!」となって、それぞれに深い共感がある。
これからは、患者ではない人にも理解、共感してもらえる、自分の心を安心させられる社会になればいいなと強く思う。「わかるわかる」と言われることの安心感がとても大事。そのために、病気について話すきっかけが必要。
便意切迫感はなかなか理解してもらえないもの。再燃したときは、本当にトイレが我慢できない。
たとえば職場でトイレに頻繁に行くことが「サボっている」と思われると困るので、あらかじめ病気について職場の人に伝えておくことで気持ちが楽になる。病気について話すことは、自分の身を守ることだと思っている。
でも、話すことで、昇進に影響があるかもしれない、と感じることも。
でもまずは、患者側から理解してもらえるように努めることも大事だと思う。自分はそうすることが周りの理解につながった。
わたしは主治医の先生に便意切迫感について話していて、便意切迫感が調整のバロメーターのようになっている。自分の中の感覚的な基準と、毎日の記録(トイレの回数、時間、切迫感の強さなど)を先生に伝えている。
職場では、一緒に仕事をしている人には病気について伝えており、同僚もトイレに行きやすい雰囲気を作ってくれる。「今時間があるので、トイレ行って来たら?」、「トイレ大丈夫?」と声をかけてくれる。
でも正直、最初は話すことに勇気が必要だった。病気のことを話しやすい社会になってほしいと強く思う。