子宮内膜症Q&A

病気、診断、治療、日常生活、妊娠についてのピンポイントの疑問に対して「Q&A」方式で説明します。

病気について

Q1.子宮内膜症が増えている理由は?

A1.子宮内膜症のはっきりとした原因は明らかになっていませんが、子宮内膜症には女性ホルモンが深くかかわっていて、月経のたびに病気が進行していきます。
現代女性は、初経を迎える年齢が早くなっているため女性ホルモンが分泌される期間が長くなっています。さらに、以前に比べて働く女性が増え、結婚年齢も出産年齢も遅くなって出産回数が減少し、また、産まない選択をする女性が増えたことで、一人の女性が経験する月経回数は増加しました。その結果、子宮内膜症が増え、子宮内膜症が進行しやすくなったと考えられるのです。

多様な人生の選択肢があることは現代女性にとってよいことですが、月経回数が増えたことで、子宮内膜症のリスクは高くなっているのは事実です。こうしたリスクがあることを知った上で、健康管理をきちんとしていくことが大切です。

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Q2.早期発見のポイントは?

A2.子宮内膜症の自覚症状で最も頻度の高いものが、月経痛です。しかも月経の回数を重ねるごとに痛みが強くなっていくのが特徴で、月経のたびに寝込んでしまう人も少なくありません。 病気の進行に伴い腰痛や下腹痛、性交痛、排便痛などの訴えも多く見られます。 以前に比べて月経がつらくなってきたと感じたり、お母さんや姉妹が子宮内膜症を患ったことがあれば、なるべく早く婦人科を受診したほうが良いでしょう。 早期発見は、病気の進行を抑えたり、症状を軽減することに効果的です。

気になる症状がないかどうか、まずはセルフチェックしてみましょう。

子宮内膜症が疑われる場合には、まずは問診や内診、超音波検査などを総合して診断を行います。

〈参考〉子宮腺筋症では、激しい月経痛とともに、月経量が異常に多い過多月経が起こるのが特徴です

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Q3.子宮内膜症が多く発生する場所はどこですか?

A3.子宮内膜症ができやすい場所は、腹膜、卵巣、子宮と直腸の間のくぼみ(ダグラス窩)などです。図のオレンジ色で示した部位ができやすい場所です。卵巣にできたものを卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)とよびます。

卵巣チョコレート嚢胞がある場合は、卵巣に古い血液が溜まって卵巣がふくれ、周囲の卵管などと癒着して痛みや不妊の原因になることがあります。また、まれにがん化することがありますので、必ず定期的に検査を受けましょう。

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Q4.再発しやすい?

A4.子宮内膜症は再発を繰り返しやすく、根治手術(卵巣や子宮ごと病巣をとり除く)を受ける以外は閉経するまで基本的に長くつきあっていく病気ですから、経過観察は欠かさずに行うことが大切です。たとえ再発した場合でも、早く発見できれば病気の進行を抑えながら治療していくことができるでしょう。

個人差も大きい病気なので、中には自然に症状が改善する人もいますが、月経があるうちは、再発、進行する可能性はあります。主治医と相談しながら、つらい症状を上手にコントロールし、ライフスタイルを充実させていきましょう。

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Q5.がん化しやすいの?

A5.子宮内膜症のなかで、卵巣にできたものを卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)とよびます。

卵巣チョコレート嚢胞では、まれにがん化が見られたという報告があります。発生率は0.7%程度ですが、40才以上の方や、若くても卵巣チョコレート嚢胞が10cm以上の場合は、特に注意しましょう。卵巣チョコレート嚢胞があることがわかったら、必ず定期的に検査を受けましょう。

子宮内膜症は良性の病気ですから、それ自体で命にかかわることはありませんので、症状のコントロールをしながら、閉経までの間、気長につきあっていきましょう。

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診断について

Q6.自覚症状がないことも?

A6.子宮内膜症の症状はさまざまで、その程度も人それぞれです。なかには、何の自覚症状もないのに、他の手術のときに、たまたま子宮内膜症が見つかったという人もいます。自覚症状がなくても、定期的に婦人科検診などを受けチェックすることが大切です。

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治療方法について

Q7.治療方法は?

A7.子宮内膜症の治療方法には、手術療法と薬物療法があり、いつ妊娠を希望するかによって治療法の優先順位が決まってきます。サイズの大きい卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)が見つかった場合は、破裂やがんのリスクを避けるために手術療法を行うこともあります。

また、薬物療法には対症療法とホルモン療法があり、痛みを抑えることを目的に鎮痛薬で対症療法を行ったり、十分な効果が得られない場合には、必要に応じホルモン療法などを追加します。対症療法の場合は、病気の進行を抑えたり、病巣を小さくする効果はないため、定期的に受診し 、経過をみていくことが大切です。

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Q8.薬物療法? 手術療法?

A8.治療法の選択は、症状、年齢、自身のライフプランによって違ってきます。女性にとって大きなイベントである妊娠・出産をこれから希望するか、希望する場合はいつ頃かといったことが大きなポイントになります。

また、子宮内膜症の治療の目的は3つですが、どれを優先するかによって治療法が決まります。その1つは痛みを緩和させることで(図)、鎮痛薬などの対症療法でコントロールできない場合はホルモン療法を行います。

2つ目は妊娠率を向上させることで、対症療法で痛みを抑えながら妊娠を目指します。3つ目は卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)のがん化を防ぐことで、嚢胞が4cm以下の場合は対症療法あるいはホルモン療法で症状をコントロールし経過をみていきます。10cm以上の場合は基本的に手術療法を選択し、5~9cmの場合には嚢胞の状態や年齢によって異なります。 

いずれにしても医師とよく相談して治療法を決めていくことになります。

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Q9.手術後の再発の可能性は?

A9.子宮内膜症は根治手術以外では、再発の可能性がある病気ですので、手術後も、経過観察は欠かさずに行うことが大切です。手術後は症状もなくなるので、検診を忘れてしまいがちですが、月経があるうちは、再発、進行する可能性があるため、定期的に検診を受けるようにしましょう。

特に、取り切れないで残った微小な病片などから再発する可能性を考慮し、術後にホルモン薬の投与を行うことがあります。その選択肢も広がり、ホルモン薬の種類によっては、子宮内膜症病変に直接働きかける作用があり、手術後のコントロール方法の一つとして期待されています。

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日常生活について

Q10.治療薬服用中に出血したときは?

A10.ホルモン療法では治療中に出血が見られることがあります。薬剤の特性として、子宮内膜の状態を変化させるためです。したがって、あまり過度に心配する必要はありませんし、出血イコール薬が効いていないというわけでもありません。少量の出血が続くようなら、出血の程度をメモするなどして医師に相談しましょう。しかし、大量の出血があったり、月経の2日目のような出血が4日以上続いたり、比較的少量であっても10日以上続くようなら急いで病院を受診しましょう。

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妊娠について

Q11.子宮内膜症は不妊になるの?

A11.不妊は子宮内膜症の症状の一つではありますが、必ず不妊になるわけではありません。子宮内膜症があっても自然に妊娠・出産するかたは多くいます。しかし、病状が進むと妊娠に悪い影響があるといわれています。早期から治療していくことは将来の不妊を防ぐことにもつながります。

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Q12.不妊症との関係は?

A12.子宮内膜症の30~50%が不妊を合併しているといわれてます。また、不妊症の方の25~50%に子宮内膜症がみられるということがわかってきており、子宮内膜症と不妊症の因果関係が考えられています。

不妊症との関係として、子宮内膜症の病状が進むに従って、卵管と卵巣、子宮、腸管などとが癒着を起こしやすくなり、卵巣からの卵子の放出や卵管内の受精卵の移動などが妨げられて妊娠しにくくなる可能性が考えられています。また、骨盤腔内に炎症を引き起こすことで、受精や着床を妨げることもあります。ただし、子宮内膜症があると必ず不妊症になるというわけではありません。子宮内膜症があっても自然に妊娠・出産をする人は沢山います。

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