便秘の原因

慢性便秘症の分類

大腸の動きや形が変化することで便秘になります。
便秘は、大腸の異常の原因によって2つのタイプに分類されます。
一般的な便秘の多くは機能性便秘と考えられています

機能性便秘

大腸の形は正常でも
腸の機能が低下することで
便秘になります。

器質性便秘

何らかの原因で
大腸の形自体が変化してしまうことで
便秘になります。

機能性便秘には
2つのタイプがあります

機能性便秘は症状によって
さらに排便回数減少型排便困難型の2つのタイプに分類されます。

排便回数減少型
大腸の動きが低下し、
便がうまく肛門まで送られなかったり、
便が硬くなったりします。
排便困難型
便意が低下したり、
便を出す力が弱くなったりして、
便をうまく体の外に出せなくなります。

排便回数減少型

排便回数や排便量が減少して、結腸に便が過剰に貯留するために腹部膨満感腹痛などの症状を生じる便秘です。結腸内での糞便の停滞時間が長いため硬便化して、硬便による排便困難を生じる場合もあります。大腸通過時間検査などの専門的検査によって、大腸通過遅延型と大腸通過正常型に分類されます。

大腸通過遅延型

大腸が糞便を輸送する能力が低下しているために
排便回数や排便量が減少する便秘です。

主な原因

  • 大腸の動きが弱く、
    直腸まで便が運ばれにくい
  • ストレスによって
    大腸ぜん動運動が低下する
  • 運動不足気味である

大腸通過正常型

大腸が糞便を輸送する能力が正常にもかかわらず
排便回数や排便量が減少
する便秘です。

主な原因

  • 過度な小食や、ダイエット
    などによる食事制限

排便困難型

排便時に直腸内の糞便を十分量かつ快適に排出できず、排便困難や不完全排便による残便感を生じる便秘です。

大腸通過正常型

排便回数や排便量が減少していないにもかかわらず便が硬く、
硬便のために排便困難や過度の怒責(いきみ)を生じる便秘です。

主な原因

  • 日常の水分摂取量が少ない
  • 大腸で過剰に水分が吸収され、便が硬くなる

機能性便排出障害

機能的な病態によって、
直腸にある糞便を十分量かつ快適に排出できない便排出障害のために、
排便困難や不完全排便による残便感を生じる便秘です。

主な原因

  • 便意を我慢する習慣により、直腸の排便反射(便意)が弱まる

器質性便秘には
大きな病気が
隠れていることがあります

大腸がんやクローン病などの大きな病気が原因で大腸の形が変化して
器質性便秘になることがあります。
便秘の症状に加えて、以下の項目に当てはまる場合は、すぐに医師に相談しましょう

  • 最近急に便秘になった
  • これまでの排便習慣が変化した
    (便秘ぎみ、下痢ぎみ、あるいは両方みられるようになったなど)
  • 便秘の治療をしても、改善しない
  • 発熱がある
  • 吐き気がある、吐いた
  • 最近急に体重が減った
  • 貧血がある
  • 便に血が混じる
  • おなかの張りを感じる
  • 家族が大腸がん、クローン病、
    潰瘍性大腸炎などの
    腸の病気に
    かかったことがある

腸以外の他の病気が原因で
便秘になることがあります

便秘は腸以外の他の病気の初期症状ということがあります。
パーキンソン病レビー小体型認知症うつ病糖尿病などが、
便秘を引き起こすことがある代表的な疾患です。
その他にも、腎臓疾患、甲状腺機能低下症、自律神経障害、膠原病などがあり、
多くの疾患で便秘を併発することがあります。
急に便秘になった場合には、もしかしたら他の病気にかかっているサインかもしれません
いつもと体調が違うことはないか注意するようにしましょう。
気になることがあれば、すぐに医師に相談するようにしましょう。

注意が必要な症状・状態

  • 最近嗅覚、味覚が変化したと感じる
  • 気分が落ち込んだ状態がずっと続いている
  • 手足が震えるようになった
  • うまく歩けないことがある
  • 眠れないことがある
  • 血糖値が高いことを指摘された

中島 淳 著:寿命の9割は「便」で決まる,
SBクリエイティブ, 2018, p. 55-60
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お薬によって
便秘になることもあります

お薬によっては大腸の動きや機能などに影響を与えるものがあります。
貧血のお薬(鉄剤)、胃薬(制酸薬)や血圧のお薬(循環器作用薬、利尿薬)などが原因で
便秘になることもあります。
これらのお薬を飲んでいる場合や他の病気でお薬を飲んでいる場合に便秘が気になる時は、
主治医に相談するようにしましょう。

便秘を起こすことがある
主なお薬

病気の種類
お薬の種類
貧血
鉄剤
胃や腸などの消化器疾患
制酸薬
抗コリン薬
高血圧
循環器作用薬
利尿薬
不眠症、不安やうつ病などの
精神疾患
向精神薬
パーキンソン病
抗パーキンソン病薬
がん
化学療法薬
オピオイド
制吐薬
その他
循環器作用薬
吸着薬、陰イオン交換樹脂
止痢薬

日本消化器病学会関連研究会 慢性便秘の診断・治療研究会 編:
慢性便秘症診療ガイドライン2017, 南江堂, 2017, p.33
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