炎症性腸疾患との暮らしを話せる社会へ

プロジェクト
メッセージ

急にトイレに行きたくなったら、近くにトイレがなかったら、どうしよう。
そんな不安を、一人で抱えていませんか。
映画やイベントのお誘いを断ったり、
やりたかった仕事、通いたかった学校をあきらめたり…。
様々な不自由や、対処するための工夫、努力を一人で背負っていませんか。
潰瘍性大腸炎、クローン病からなる炎症性腸疾患は、
まわりから症状が気づかれにくく、見えない難病とも呼ばれています。
炎症性腸疾患についての理解を広げることで、患者さんへのサポートの輪を広げたい。
それが、私たちの願いです。

炎症性腸疾患との暮らしを、
話せる社会へ。

炎症性腸疾患とは?

炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)は、消化管に炎症や潰瘍を生じ、
出血、下痢、体重減少、発熱などの症状を起こす疾患の総称です。一般的に原因不明で
慢性の経過をたどる、潰瘍性大腸炎とクローン病の2つの疾患を指します。

「便意切迫感」との
暮らしを描いた
スペシャルムービー

炎症性腸疾患の症状のひとつである
「便意切迫感(突然感じる激しい便意)」に悩む患者さんの声を、歌とアニメーションで表現しました。
患者さんの努力や周りへの気遣いを多くの皆さんにご理解いただき、
私たちができるサポートのあり方を考えるきっかけになるよう願いを込めております。
歌唱を担当したのは、ご自身も潰瘍性大腸炎の患者である声優の中村千絵さんです。

中村千絵さんからの
メッセージ

【患者さんへのメッセージ】
炎症性腸疾患になっていろいろ大変なこと、思い通りにいかないことがあると思います。
同じ潰瘍性大腸炎・クローン病という病気であってもそれぞれに合う治療法だったり食事の
許容範囲だったりとか、病気の度合いも人それぞれだと思います。だからこそ、患者さん同士、
お医者さん、あるいは周りのお友達や家族、近しい人たちと話すことで、少しでも気持ちが楽になったり、悩んでいるのは一人じゃないんだなって思えたらいいなって思います。
私も当事者ですので、一緒に頑張りましょう。
【周囲の方へのメッセージ】
私たち患者が抱えている不便さや心細さを知っていただいたり、ちょっとだけ理解してもらえたり、炎症性腸疾患のことに関心を持ってもらえたら、これからずっとこの病気と共存して戦っていかなくてはならない患者にとっては、とても心強く、毎日が過ごしやすくなると思います。
今回の動画が、その一つのきっかけになるといいなと思います。

日比先生より
「患者さんが過ごしやすい
世の中になるために」

監修
日比 紀文(ひび としふみ)先生日比 紀文 先生
(ひび としふみ)

慶應義塾大学医学部
 名誉教授

炎症性腸疾患の患者さんは若い時期に発症する人も多く、その後の人生で受験、就職、結婚、出産などさまざまな経験をしていきます。この時期には健康な人でもいろいろと悩みの多い日々を送っているものですので、患者さんは若さゆえの悩みに加えて、病気にともなう悩みが重なることになります。その時々で不安を感じること、悩むことは、患者さんによって異なります。その不安や悩みのなかには、医師には話しにくいこともあるでしょう。特に炎症性腸疾患の場合、便意切迫感など排便に伴う問題は、親しい人間であっても話しにくく、我慢を強いられている人は多いと思います。患者さんが医師にすべてを話せるわけではないことを我々も承知しています。何か悩みを抱えていて、医師に話しにくいと感じた場合には、看護師や薬剤師、栄養士など、ほかの職種の医療スタッフに、遠慮せずに相談してほしいと思います。患者さんが一人で悩みを抱えずに、相談しやすい環境を作っていくことが大切です。そして、炎症性腸疾患という病気と患者さんの抱える悩みを周りが理解することが、患者さんが過ごしやすい世の中になるための、一歩になると思います。