HOME 快適な⽇常⽣活のポイント(Q&A)
お風呂には入れますか?
行っている治療により、以下のことに気をつければ、入浴することができます。
持続静脈内投与療法や持続皮下投与療法を行っていない場合
ぬるめのお湯に短時間(10分程度)つかるぐらいであれば大丈夫です。
熱いお湯や長時間の入浴は心臓に負担がかかるので注意しましょう。
持続静脈内投与療法や持続皮下投与療法を行っている場合
腰や胸までお湯につかることは避けてください。防水に十分注意すれば、毎日、足湯につかったり、シャワーを浴びることができます。
入浴前に機器の全ての接合部をしっかりと防水するよう注意し、入浴後は機器の水滴を拭き取り異常がないか確認しましょう。
旅⾏に⾏くことはできますか?
⾝体に負担になるような旅程や場所でなければ、電⾞や⾞、⾶⾏機等で旅⾏に⾏くことは可能です。
ただし、事前に主治医・看護師などの医療関係者に必ずご相談ください。
無理をしないよう余裕のある旅程を組むのであれば、旅⾏に⾏っても⼤丈夫です。
旅⾏中に必要なお薬等が⾜りなくならないようしっかりと準備しましょう。
ただし、過度な混雑により⾝体が密着しやすい場所や、⻑時間⽴つ必要がある場所は避けることをおすすめしています。
交通機関を利⽤するときは利⽤可能な健康状態かどうかや注意すべきことについて事前に主治医に相談しましょう。例えば、⾶⾏機を利⽤することになったら、必ず事前に航空会社に病気のことや⽤意すべきもの等について相談してください。
外出するときに用意するものは?
緊急時や災害時に備えて、ご自身の治療に必要な薬剤や物品の予備を持ち歩くようにしてください。忘れ物がないように、持ち物チェックリストを作っておくと便利です。
緊急連絡カード(下記参照)は、いざという時にとても役立ちますので、必ず携帯するようにしましょう。
〈緊急連絡カード〉
緊急連絡カードとは、緊急事態が発生した場合にすぐに医療機関に連絡がとれるように、緊急時に連絡をとるべき先の情報を記載したカードのことです。
この『緊急連絡カード』は常時携帯し、また、財布、かばんのポケット、定期入れ・パスケースなど、いざという時に救急隊員や医療従事者が見つけやすい所に入れておきましょう。
治療や生活に関して、自分の意思を先生に伝えても良いのでしょうか?
はい、ぜひ伝えるようにしてください。
近年では医療者と患者さんによる「共同意思決定(Shared Decision Making:SDM)」が注目されています。
SDMとは
SDMとは医療者と患者さんが共に参加して治療方針を決定することで、患者さん中心の医療を実現するためには欠かせません。
SDMでは①少なくとも医療者と患者さんが関与すること、②両者が情報を共有すること、③両者が希望の治療について合意を形成する段階を踏むこと、④実施する治療についての合意に至ること、の4点が必須構成要素とされています。
先生と協力し、ご自身に合ったPAH治療を進めていきましょう。
身体障害者手帳を交付してもらうことによりどのようなサポートが受けられますか?
肺高血圧症が重度であり、身体障害者福祉法における身体障害認定基準に該当する方は、申請すると身体障害者手帳が交付され、様々なサポートを受けられる可能性があります。
くわしくは市町村の障害担当窓口にお問い合わせください。
その他、自治体や事業者が独自に提供するサービスを受けられることもあります。
電話診療やオンライン診療はどのように利用すればよいですか?
まず受診しようと考えている医療機関が電話診療やオンライン診療を行っているか確認し、各医療機関の指示に従って利用してください。
電話・オンライン診療の流れ
※ここではPAH患者様だけではなく、全ての方を対象とした、厚生労働省ホームページの内容を掲載しています。
厚生労働省ホームページ: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00014.html(2022年9月閲覧)
災害への対策はどんなことが必要ですか?
事前の準備、避難計画、薬の管理について普段から準備しておきましょう。
食事について、PAH患者が気をつけたほうが良いことはありますか?
心不全対策として水分・塩分は控えめにし、健康的な食生活を心がけましょう。
肺高血圧症は進行すると心不全となりますが、心不全では体に水分がたまりやすく、むくみが現れます。ですので水分摂取を制限する必要がありますが、摂取すべき水分量には個人差がありますので、かかりつけの先生に相談してください。
また、塩分の取りすぎも、のどの渇きをまねき過剰な水分摂取の原因となりますので、気をつけてください。
治験 とはどのようなものでしょうか?
「くすりの候補」が国の承認を得て「くすり」となるための試験のことです。
化学合成や、植物、土壌中の菌、海洋生物などから発見された物質の中から、試験管の中での実験や動物実験により、病気に効果があり、人に使用しても安全と予測されるものが「くすりの候補」として選ばれます。この「くすりの候補」の開発の最終段階では、健康な人や患者さんの協力によって、人での効果と安全性を調べることが必要です。 こうして得られた成績を国が審査して、病気の治療に必要で、かつ安全に使っていけると承認されたものが「くすり」となります。
人における試験を一般に「臨床試験」といいますが、「くすりの候補」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床試験は、特に「
治験
」と呼ばれています。
治験 への参加は、主治医からすすめられる場合と、ご自身で情報を収集して希望する場合があります。 どちらの場合でも、医師から 治験 の目的、方法、期待される効果、予測される副作用などの不利益、 治験 に参加されない場合の治療法などについて説明がありますので、そのうえでご自身の自由な意思にもとづいて判断してください。
厚生労働省ホームページ:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/chiken.html(2023年5月閲覧)より作成
医療費助成について詳しく教えてください。
難病医療費助成制度と高額療養費制度の2つがあります。
指定難病と診断された方で、病気の重症度が一定以上の方は、医療費助成を受けることができます。難病指定医を受診し診断書(臨床調査個人表)の交付を受け、必要な書類を揃えて都道府県・指定都市に申請すると、審査ののち医療受給者証が交付されます。
難病情報センター. 指定難病患者への医療費助成制度のご案内
https://www.nanbyou.or.jp/entry/5460(2023年8月閲覧)
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で自己負担上限額を超えた場合、医療保険が超過分を負担する制度です。
高額療養費制度を利用する場合は、あらかじめご加入の医療保険に「限度額適用認定証」を申請し、医療機関に提出しておくと医療機関の窓口では自己負担上限額までの支払いとなり、医療費の支払いと払い戻しの手間がかからなくなります。限度額適用認定証の期間は1年間です。1年後に利用する場合、再申請が必要です。
厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html
(2023年8月閲覧)
両制度における自己負担額の上限や手続きの流れについては、「どんな病気?肺高血圧症」の「医療費助成について」で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
URL:https://www.mochida.co.jp/haikoketsuatsusho/subsidy.html
ペットを飼ってもよいでしょうか?
飼うことは可能ですが、治療法によっては注意が必要です。
持続静脈内投与療法や持続皮下投与療法、吸入療法を行っている場合、薬液や投与機器を取り扱う際には常に清潔な状態で操作を行うことが重要です。
ペットを飼うことは可能ですが、こまめに掃除するなど、衛生面には十分に注意するようにしましょう。
現在PAHの治療にはどのような種類がありますか?
下記のような治療法があり、患者さんの病状や生活にあわせて選択されます。
薬物療法
肺の血管をひろげるはたらきのある薬剤を中心に、患者さんによって薬剤を使い分けます。
必要な場合は複数の薬剤を組み合わせて使います。
種類により投与方法(飲み薬、注射薬、吸入薬など)を選択できるものもあります。
手術療法
場合によっては肺移植が検討されることもあります。
国の就労系障害福祉サービスにはどのようなものがありますか?
就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、
就労定着支援の4種類のサービスがあります。
就労移行支援
就労を希望する障害者であって、一般企業に雇用されることが可能と見込まれる方に対して、一定期間就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。
就労継続支援A型
一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が可能である方に対して、雇用契約の締結等による就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行います。
就労継続支援B型
一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が困難である方に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行います。
就労定着支援
就労移行支援等を利用して、一般企業に新たに雇用された障害者に対し、雇用に伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での各般の問題に関する相談、指導及び助言等の必要な支援を行います。
各サービスの概要は厚生労働省ホームページをご参照下さい。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/shurou.html
山に行っても問題ないでしょうか?
山などの高地に出かける場合は標高に気をつけてください。
自然の中で適度な運動をすることは体によいですが、標高が高くなるほど酸素が薄くなりますので、 山などの高地に出かける場合は注意してください。
高地に限りませんが、ご希望の旅行地または目的地が問題ないかどうかは、事前に主治医・看護師などの医療関係者にご相談ください。