全ての脂質が動脈硬化の原因というわけではありません
- 脂質の働きと内臓脂肪について
-
脂質には、2タイプのコレステロール(HDLコレステロールとLDLコレステロール)と中性脂肪(トリグリセライド)があります。HDLコレステロールは全身の組織で余ったコレステロールを回収します。LDLコレステロールはコレステロールを全身に運ぶ働きがあります。しかしながら、LDLコレステロールが増えすぎたり、変性したりすると、血管の内側に入り込んで動脈硬化を招きます。
一方、中性脂肪は、人が活動していく上で重要なエネルギー源になりますが、余ったものは皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積されます。内臓脂肪が増えすぎると、下図のように、血液中の中性脂肪の増加や動脈硬化を引き起こすタイプのコレステロールの増加、HDLコレステロールの減少を招き、動脈硬化を進めます。

内臓脂肪は肥満を解消すれば減少します
内臓脂肪が増えて、動脈硬化が進みやすい病態がメタボリックシンドロームです
メタボリックシンドロームの基準値を知りましょう

脂質異常症(高脂血症)は、
動脈硬化性疾患の重要な危険因子のひとつ
- 動脈硬化性疾患には様々な危険因子が関与しています
- 動脈硬化性疾患には下記のような危険因子があり、これらに応じた治療目標に沿って、治療する必要があります。
- 喫煙
- 高血圧
- 糖尿病 (耐糖能異常を含む)
- 脂質異常症
- 慢性腎臓病(CKD)
- 肥満 (特に内臓脂肪型肥満)
- 加齢・性別 (男性または閉経後女性)
- 家族歴
日本動脈硬化学会 編集:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版:p153 一部改変
もし上記の項目に複数当てはまる場合には、医師に相談することをおすすめします。
脂質異常症の治療
- 治療の基本は食事・運動療法です
- 脂質異常症の治療の基本は、食事療法や運動療法といった生活習慣の改善です。しかし、食事療法と運動療法を続けても脂質異常症が改善しない場合は、薬物療法が考慮されます。
- 薬物療法では医師が患者さんごとに適切な薬を選びます
- 脂質異常症の薬物療法では、中性脂肪(トリグリセライド)やLDLコレステロールを低下させる薬が用いられます。個々の患者さんにより目標値などが異なるため、薬の特徴や効果を踏まえ、医師により適切な薬剤選択が実施されます。医師・薬剤師の指示に従って正しく服用しましょう。
※治療の詳細につきましては、医師・薬剤師にご相談ください。
循環器病情報サービス(国立循環器病研究センター)