日光角化症について

日光角化症について

診断法

日光角化症の診断

主に視診による診断が行われています。視診のみで診断に至らない場合や、鑑別すべき疾患が存在する場合は、非侵襲的なダーモスコピーによる診断や組織を採取しての病理組織診断を行います。

臨床診断のポイント

@ 慢性的な日光曝露部位に認められる紅斑状病変で、しばしば多発する
A 表面がやや粗造な感じで(触診が有用)、多少の鱗屑・痂皮がみられる
B 形状や表面の性状などが不規則で、境界不明瞭なことが多い
C ときに萎縮性紅斑や高度に角化した皮角としてみられることがある
D 全体が黒褐色を呈することは稀だが、一部が褐色調を帯びることはある
E 近傍に日光黒子や脂漏性角化症を併発することが少なくない

組織診断のポイント

@ 表皮の特に下層部を中心に異型ケラチノサイトが乱雑に存在する
A 病変部の角層は大部分が不全角化を呈するが、毛孔部には正常角化が残る
B 真皮上層にsolar elastosis(日光性弾性線維症)が淡紫色の線維状〜無構造物質として認められる
C 真皮上層には毛細血管拡張とリンパ球主体の炎症性細胞浸潤が種々の程度に認められる

日光角化症の典型的組織所見
弱拡大 強拡大
日光角化症の典型的組織所見 日光角化症の典型的組織所見

角層の大部分は不全角化性で、表皮基底層部に異型ケラチノサイトが乱雑に存在し、真皮には毛細血管拡張とsolar elastosisを伴っている

斎田俊明:Skin Cancer. 25, 214-231, 2010

真皮内浸潤性有棘細胞癌への進展を示唆する臨床所見

@ 病変部に明らかな結節・硬結があり、触診で弾性硬に触知する場合
A 硬結を触知するびらん・潰瘍性病変がみられる場合
B 急速に増大する結節・潰瘍性病変を生じてきた場合

ダーモスコピー診断

日光角化症の診断、鑑別には、近年導入された皮膚病変の非侵襲的診断法であるダーモスコピーが極めて有用です。

ダーモスコピー診断

日光角化症のダーモスコピー所見:

strawberry pattern、red pseudonetwork;
4-leaf clover、rosette sign;
scale/crust

提供:信州大学名誉教授 斎田俊明先生

 

鑑別が必要とされる疾患

日光角化症との鑑別が必要とされる疾患としては下記のものがあげられます。

1. 
脂漏性角化症

ケラチノサイト系の良性腫瘍で、境界が極めて明瞭な、急峻に隆起する褐色〜黒褐色調の局面あるいは結節としてみられます。臨床的に日光角化症との鑑別が最も問題になります。

脂漏性角化症

提供:信州大学名誉教授 斎田俊明先生

2. 
日光黒子

境界明瞭な黒褐色調の斑状病変で、やや大型で多少不整形状のこともあります。表面の鱗屑はあまり目立ちません。部分的あるいは全体的に軽度に扁平隆起し、その表面が多少角化性でビロード状を呈することがあります。

日光黒子

斎田俊明:Skin Cancer. 25, 214-231, 2010

3. 
扁平苔癬様角化症

炎症症状を伴うために、紅褐色調の扁平隆起性病変としてみられることが多く、臨床的に日光角化症との鑑別が最も問題になります。境界明瞭で、病変が全体的に一様な性状を呈することが特徴です。

扁平苔癬様角化症

斎田俊明:Skin Cancer. 25, 214-231, 2010

4. 
尋常性疣贅

径1cm程度までの類円形の病変で、表面が高度角化性で、規則的な乳頭状〜乳嘴状の凹凸を示します。この乳頭頂部に微小な出血点がよくみられます。疣状型や皮角型の日光角化症との鑑別が問題になります。

尋常性疣贅

斎田俊明:Skin Cancer. 25, 214-231, 2010

5. 
Bowen病

径数cm程度までの、紅色〜紅褐色の斑状あるいは局面状の皮疹で、表面の一部に角化、鱗屑・痂皮がみられます。多くは体幹など被覆部にみられますが、顔面など日光曝露部にも生じます。

Bowen病

提供:信州大学名誉教授 斎田俊明先生

6. 
基底細胞癌

灰黒色調の結節性病変のことが多く、病巣表面が角化せず平滑であり、半透明の膜で覆われたようにみえる点が日光角化症との鑑別に役立ちます。

基底細胞癌

提供:信州大学名誉教授 斎田俊明先生

7. 
悪性黒子(メラノーマの早期病変)

不規則、不整な黒褐色の斑状皮疹で、真黒色部分がみられます。色素沈着型の日光角化症との鑑別が問題になりますが、悪性黒子の方が色素沈着が濃く、角化傾向はほとんどありません。

悪性黒子(メラノーマの早期病変)

斎田俊明:Skin Cancer. 25, 214-231, 2010