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- メタボリックシンドローム(MetS)と尿酸再吸収の関係−基礎的知見から−(テキスト版)
Pick Up
2020年09月15日公開(2022年03月01日一部改訂)
高尿酸血症患者ではメタボリックシンドロームを有する頻度が高いことが知られ、その背景の1つにインスリン抵抗性の関与が示唆されています。
インスリン抵抗性は高インスリン血症を招き、間接的に腎臓の近位尿細管に存在する尿酸トランスポーターであるURAT1による尿酸の再吸収を亢進させることがあると考えられています。これにより尿酸の排泄が低下する結果、血中尿酸量が増加し、高尿酸血症の病態をきたす可能性があると考えられます1)。
2020年5月に発売となったユリス®錠は、URAT1を介した尿酸の再吸収経路を阻害して、血清尿酸値を低下させる、選択的尿酸再吸収阻害薬(SURI)です。
今回は「メタボリックシンドローム(MetS)と尿酸再吸収の関係−基礎的知見から−」についてご紹介します。
- 1)Kakutani-Hatayama M, et al. Am J Lifestyle Med 2017;11:321-9
メタボリックシンドロームと高尿酸血症の関連-高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版より-
高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版
第3章 「高尿酸血症・痛風の診療マニュアル」
A トレンドとリスク 2 高尿酸血症のリスク
4)メタボリックシンドローム関連
要 点
- 高尿酸血症はメタボリックシンドロームの診断基準には含まれていないが、メタボリックシンドロームを有する頻度が高く、メタボリックシンドロームの周辺徴候であることが示唆される。
- 前向き観察研究によると、血清尿酸値が高い階層ほどメタボリックシンドロームの発症頻度は増加する。
- 痛風患者はメタボリックシンドロームの各構成要素を高頻度に有し、メタボリックシンドロームに該当する場合が多い。
- 内臓脂肪の蓄積に伴って尿酸クリアランスは低下し、血清尿酸値は上昇する。
- 高インスリン血症は腎尿細管における尿酸の再吸収を促進し、血清尿酸値を上昇させる。
- 日本痛風・尿酸核酸学会ガイドライン改訂委員会 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン 第3版 診断と治療社 2018:84-85
インスリン抵抗性と尿酸クリアランスの関係-海外の痛風患者対象研究より-
高尿酸血症の要因の1つとしてのインスリン抵抗性
ユリス®錠のSURIとしての作用機序
ユリス®錠(ドチヌラド)は、URAT1選択性が高く、ABCG2、OAT1、OAT3を介した尿酸分泌経路は阻害せず、URAT1を介した再吸収経路を阻害する選択的尿酸再吸収阻害薬(SURI)です。
ドチヌラドの作用機序
ドチヌラドは、URAT1選択性が高く、 ABCG2、OAT1、OAT3を介した尿酸の分泌経路には影響を及ぼさず、URAT1を介した尿酸の再吸収経路を抑制し、効率的に血清尿酸値を低下させることが期待されます。
また、腸管においても、 ABCG2を介した尿酸の分泌には影響を及ぼさず、腸管排泄への影響が少ない可能性があります。