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押さえておきたいロコモティブシンドローム・フレイル・
サルコペニアのポイント

2020年08月04日公開

ロコモティブシンドロームの
原因としての脊椎加齢変性疾患 
−その1 椎間板変性−

橋爪 洋先生

和歌山県立医科大学整形外科学講座
准教授

はじめに

椎間板は椎体と椎体をつないで脊柱を安定化させるのみでなく、椎体間の動きを可能にし、脊柱にかかる外力を吸収するクッションとしての役割を担っている1椎間板変性は、組織学的には髄核におけるプロテオグリカンと水分量の減少、線維輪構造の乱れであり、肉眼的には光沢の変化や厚みの減少を認める2椎間板変性により、椎体間の動きが不安定になるとともに軟骨終板にかかる衝撃が増加すると、①椎体骨棘の形成、②椎間関節の肥厚、③終板の変性(硬化が主であるが、時に部分的な炎症や骨吸収を伴う)、④椎骨に付着する靱帯の肥厚・硬化が引き起こされ、変形性脊椎症に発展する。変形性脊椎症は脊柱管狭窄の原因となり、時に脊髄症や神経根症・馬尾障害を引き起こす。脊柱管狭窄は骨粗鬆症、変形性関節症と共にロコモティブシンドローム(ロコモ)の三大原因と言われる。つまり、椎間板変性は一連の脊椎加齢変性疾患のトリガーと言える。ここでは一般住民検診における椎間板変性の有所見率、ならびに腰痛との関連について解説する。

対象と方法

The Wakayama Spine Study(WSS)は、脊椎加齢変性疾患の疫学指標と危険因子を明らかにするため、大規模コホート研究Research on Osteoarthritis Against Disability(ROAD)3のサブコホートとして設立された。対象は和歌山県内2地域(山村地域と漁村地域)の一般住民であり、2008-2010年に実施されたベースライン調査では1,011名に対し、整形外科専門医が脊椎疾患に関する問診と診察を行うと共に全脊柱MRIの撮像を実施した。このうち脊椎手術既往がなく、椎間板変性の評価に適した者は975名(男324名、女651名、年齢66.4±13.5歳)であった。C2/3からL5/Sまで全高位の椎間板を、Pfirrmann分類4により5段階評価した(図1)。Grade 4と5の者を「椎間板変性あり」と定義し、各椎間高位、頚椎・胸椎・腰椎の各部位、全脊柱における有所見率(変性椎間板を有する者の数÷参加者数)を求めた。終板変性については腰痛との関連に着目し、腰椎部のみを評価対象とし、Schmorl結節の有無とT2強調矢状断像における終板信号強度変化の有無を調べた。また、参加者全員に「現在ならびに過去1ヶ月以内の腰痛の有無」を問診した。統計解析により、①性別・年代別(50歳未満、50代、60代、70代、80歳以上の5階級)の椎間板変性有所見率5②腰椎椎間板変性と腰痛の関連5③腰椎椎間板変性と終板変性(信号強度変化、Schmorl結節)が併存する場合の腰痛との関連6を求めた。

図1. Pfirmann分類

結果

  • 全脊柱における椎間板変性の有所見率は、男女とも年代の上昇とともに増加していた(図2)。70代における変性椎間板の男女別の有所見率は、それぞれ頚椎で81%、72%、胸椎で73%、80%、腰椎で97%、97%であった。各部位で変性椎間板が最も多く観察される高位はC5/6、T7/8、L4/5であった5
  • 腰椎における椎間板変性と腰痛の間には、有意な関連(オッズ比1.57、95%信頼区間1.02-2.49)を認めた5
  • 椎間板変性に終板変性を加味した検討では、椎間板変性に終板変性(信号強度変化、Schmorl結節)が加わることで腰痛との関連が強くなる(オッズ比2.2、95%信頼区間1.2-3.9)ことが明らかとなった6

図2. 全脊柱における変性椎間板有所見率の性別・年代別分布

考察

全脊柱における椎間板変性の有所見率は、年代の上昇とともに増加し、70代における変性椎間板の有所見率は頚胸椎で70%以上、腰椎で97%であることが判明した。その他の運動器と同じく、加齢に伴う椎間板変性は多くの人にとって宿命なのである。頚椎・胸椎・腰椎で変性椎間板が最も多く観察される高位は各々C5/6、T7/8、L4/5であり、各部位での弯曲(頚椎と腰椎は前弯、胸椎は後弯)の頂点付近に位置していた。これは椎間板変性の発生に日常の力学的負荷が関与することを示唆する。今回解析対象となった975名中、椎間板変性と終板変性所見の併存する人は186名、そのうち腰痛を有する人は約半数の96名であった6翻せば、残りの約半数の人は画像所見があっても腰痛の訴えがなかったことになる。腰痛は器質的異常のみでなく、不良姿勢ならびに筋疲労など機能的な原因によっても起こり得るもので、時には心理社会的因子も関与する。日常診療では画像所見のみにとらわれることなく、患者の訴える腰痛の性質をよく見極めることが重要である。

  • 1橋爪 洋ほか:最新整形外科学大系10, 25-26, 2008
  • 2G.P. ボーグミルほか:整形外科病理―対比 臨床・X線所見・組織像鑑別診断. 281-312, 医学書院サウンダース, 1987
  • 3Yoshimura N, et al.: Int J Epidemiol. 39(4): 988-995, 2010
  • 4Pfirrmann CW, et al.: Spine. 26(17): 1873-1878, 2001
  • 5Teraguchi M, et al.: Osteoarthritis Cartilage. 22(1): 104-110, 2014
  • 6Teraguchi M, et al.: Spine J. 15(4): 622-628, 2015