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心電図クイズ

琉球大学 編

息切れで来院した31歳の男性

難易度

出題:
  • 琉球大学大学院医学研究科 循環器・腎臓・神経内科学講座(第三内科)助教 
    當間 裕一郎 先生
症 例
31歳,男性
主 訴
労作時息切れ
現病歴
生来健康。数日前から労作時息切れ,下腿浮腫,陰囊腫大を自覚し,当科外来を受診した。来院時12誘導心電図,胸部X線写真を図1,2に示す。
既往歴
特記事項なし,病院受診歴なし
家族歴
特記事項なし
身体所見
身長169cm,体重70kg,BMI 24.5,血圧112/90mmHg,脈拍89回/分・整,呼吸数16回/分
胸部聴診
音亢進,音,音なし,心雑音なし,呼吸音正常
血液検査
WBC 8,700/μL,Hb 16.4g/dL,Plt 8.5×104/μL,Cre 1.32mg/dL,AST 76IU/L,ALT 55IU/L,LDH 540IU/L,ALP 274IU/L,γ-GTP 166IU/L,BNP 570pg/mL,D-ダイマー3.29μg/mL

図1.来院時12誘導心電図

図2.来院時胸部X線写真

P波の変化,ST-T変化

急性肺血栓塞栓症による右心不全(やや亜急性期)

解 説

本症例の心電図所見と診断について

症状からは心不全や呼吸器疾患などを含め、さまざまな疾患の可能性が考えられるが、図1の心電図所見から、①誘導での著明なS波(1.5mm以上)、②誘導での陰性T波(本症例ではQ波ははっきりしない)が見られ、③V1~3では陰性T波を認め、④右軸偏位を呈している。以上の所見と自覚症状、および胸部X線(図2)で肺血管陰影が増強していることから、急性肺塞栓症が最も強く疑われる。典型的な症例であれば、V1のR波は増高せず、頻脈を呈していることが多いが、患者の病歴によると症状の出現からやや時間が経過しており、⑤V1のR波が増高する(R>S)右室肥大の所見も呈していると考えられる。急性肺血栓塞栓症を含め、肺高血圧も同様の症状を呈する。ただし、確定診断には心エコー検査や造影CTが必要であり、疑わなければ見逃してしまうリスクがある。そのため、心電図所見を読影する際に確実に鑑別診断として考えることが重要である。本症例では、その後の心エコー検査で左室の収縮末期の扁平化(D-shape)を認め(図3)、造影CTでは肺動脈に血栓像(図4)を認め、確定診断となった。
その他の急性肺血栓塞栓症の心電図所見としては、不完全または完全右脚ブロックで、V1のST上昇や陽性T波を伴う。肢誘導における5mm以下の低電位などがある。

本症例の経過と治療について

肺血栓塞栓症の診断となり、ヘパリン、ワルファリンにて治療を開始し、呼吸状態や肺高血圧が改善、血栓は消失した。造影CTでは同時に深部静脈血栓症を認めており、その後の精査で抗カルジオリピン抗体が陽性と判明し、抗リン脂質抗体症候群による易血栓性が原因と考えられたため、抗凝固療法(ワルファリン)は継続する方針となった。

図3.心エコーにおける左室中隔の扁平化(D-shape)

図4.胸部造影CTで左肺動脈主幹部内に血栓を認める