(福)恩賜財団母子愛育会 総合母子保健センター 愛育病院 百枝先生に聞く!子宮内膜症

【質問3】痛みの症状をコントロールする薬物療法について、くわしく教えてください。

痛みのコントロールは、まずは鎮痛薬から始めます。それでも痛みが改善されない場合や卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)がどんどん大きくなってしまう場合にはホルモン療法を行います。

ホルモン療法に関しては、使用できる薬剤の選択肢が増え、症状のコントロールがより行いやすくなってきました。まず、軽症で若い方には、低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合製剤が良いと思います。子宮内膜の増殖を抑え、子宮内膜症の進行を食い止める働きがあります。その次の段階としては、黄体ホルモン製剤を使います。世界にさきがけて日本で認可された新しいタイプの黄体ホルモン製剤は、子宮内膜症の組織に直接働きかけて病巣を萎縮させるほか、痛みの原因になるプロスタグランジンの産生やサイトカインのレベルを下げる働きもあるため、痛みの症状を抑える力も強いのです。副作用として不正出血が起こりやすいためそれを抑えるための工夫もいろいろと試みられています。

低用量卵胞ホルモン・黄体ホルモン配合製剤も黄体ホルモン製剤も、使用期間に制限がなく長期的に使えるため、「将来的に妊娠の可能性は残したいけれど、いつになるかわからない」という場合に非常に役立ちます。

かつて子宮内膜症のホルモン療法の主流を占めていた偽閉経療法(GnRHアナログ製剤)は、完全に月経を止めてしまうため、使用中は症状はなくなりますし、進行も食い止められますが、骨量の減少などの副作用の問題があるため、6ヵ月間しか使えません。このため、最近では、よほど症状が重い場合や、手術を行う前などに使われています。

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「痛み」には相談方法があります。「痛みノート」をつけましょう!

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