その他の子宮の病気 子宮筋腫

病気について

子宮にできる良性の腫瘍(こぶのようなしこり)のことを子宮筋腫といいます。月経のある女性の5人に1人に子宮筋腫が発生すると言われていますが、良性疾患であるからと、子宮筋腫を軽視するのは危険です。

ほとんどは無症状なのですが、症状がある場合は月経期間が長くなったり、月経時の出血量が多くなったり、不正性器出血が頻繁に起きたりするほか、強い月経痛が起きたりします。子宮筋腫が大きくなってくると、周囲を圧迫する症状が出てきます。典型的なのは膀胱圧迫症状で、おしっこが非常に近くなります。さらに大きくなると便通異常(便秘)になり、下腹部が出っ張ってきたり、触ると固くなったりします。また、不妊を引き起こすこともあります。日常生活に支障をきたすほど症状が重い場合は、治療が必要になりますので早めに受診されたほうがいいでしょう。

子宮筋腫の原因ははっきりとわかってはいませんが、女性ホルモンの影響で筋腫が発育するので、閉経後は縮小します。

子宮筋腫の種類は、子宮のどこに筋腫ができるかによって分類されます。

子宮壁を構成する三つの層のうち、どの層に筋腫があるかによって、筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)、漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)、粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)に分類されます。また、子宮頸部の位置にできるものは頸部筋腫(けいぶきんしゅ)と呼びます。半数以上の子宮筋腫は多発性(複数発生する)です。

筋腫の発生する場所は、症状と関係が深いといわれています。

筋層内筋腫 子宮の厚い筋層にできる筋腫で、最も多い種類です。
漿膜下筋腫 子宮の外側を覆う漿膜下にできる筋腫です。無症状のことが多いのですが、筋腫の茎が捻転(ねんてん)し激しい腹痛を伴う(急性腹症)こともあり、注意が必要となります。
※有茎性漿膜下筋腫:筋腫が子宮の外側にでき、まるで茎があるような状態で膨らんでいるもの。
粘膜下筋腫 子宮の内側の粘膜下にできる筋腫です。子宮内膜を筋腫が下から持ち上げている状態なので子宮内膜に影響し、月経に関する異常(過多月経、月経遷延〈せんえん〉、過多月経による貧血、月経痛など)がおこります。筋腫が大きくなって膣へ達することもあり、これを筋腫分娩と呼びます。
※有茎性粘膜下筋腫:粘膜下筋腫が茎を持ったもの。
頸部筋腫 子宮の頸部にこぶができる筋腫です。大部分の子宮頸部筋腫が無症状ですが、出血したり、大きくなると尿路を塞いでしまうこともあります。

検査・診断について

問診、内診、超音波検査のほか、貧血がないかどうか血液検査で確認します。子宮筋腫と同じように子宮の筋肉から発生する腫瘍で悪性のものを肉腫といいますが、これとの関連を調べるときはMRIで検査します。また、引き続き経過を見守る必要があるときや妊娠を希望されている患者さんについては、MRIで筋腫の位置と大きさを確認しておきます。妊娠の可能性を残せる手術を行うこともあります。

過多月経などの自覚症状があって婦人科を受診し筋腫が見つかることもありますが、とくに症状がない場合でも婦人科検診などで偶然発見されるケースも多くあります。

最近では超音波の精度が向上してきたため、小さい筋腫も見つかることがあります。何年も検診を受けずに放置すると、お腹の上から触っただけでゴツゴツした筋腫が手に触れるほど巨大化するまで気づかないケースもあります。筋腫の大きさと自覚症状は比例するとは限らないので注意しましょう。また、筋腫のできる場所によって妊娠、出産への影響が異なるので、妊娠を考え始めたら一度チェックを受けておいたほうがよいでしょう。

治療について

子宮筋腫が見つかっても、症状が無い場合は特に治療はしません。ただし、急激に大きくなるケースもあるので、「様子をみましょう」と言われたときは、定期検診で筋腫が大きくなったかどうか、症状が出てきたかどうか定期的に先生に診てもらいましょう。なお、貧血や過多月経などで日常生活に支障がある場合は治療したほうがよいでしょう。

治療が必要と判断された場合は、薬物療法と手術療法があります。下記のような項目が筋腫の治療方針に影響するといわれていますので、医師と一緒に相談しながら治療方針を決めましょう。

  • 症状(もしあれば)
  • 妊娠・出産の希望
  • 子宮筋腫の大きさと位置
  • 年齢 など

薬による治療では、半年間月経を完全に止めてしまう偽閉経療法があります。軽い月経痛の場合は鎮痛剤で痛みを和らげます。手術で筋腫を取り除く治療法を受けると、過多月経などの症状はなくなります。また、過多月経がひどくなりがちな粘膜下筋腫は、子宮の内側にあるので、お腹を切らず、膣からの手術で摘出できることもあります。開腹手術や腹腔鏡で、筋腫のみを取り除き、子宮を残す方法もあります。

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